2022年3月4日(金)
~十五年前夜祭」
@浅草木馬亭
三門 綾・玉川みね子『鳥追恋慕笠』
笑福亭智六・中田まなみ
『ノミニケーションブレイクダンス~徒然草より』
~仲入り~
立川志ら門・玉川太福・玉川みね子・笑福亭智六
「浪曲公開稽古『明石の夜嵐』」
太福・みね子『任侠流れの豚次伝「流山の決闘」』
3月5日に芸歴十五年目を迎える太福さん。ちょうど
”月例”木馬亭独演会開催日と重なっていた。
ということで本日3月4日はその前夜祭。
ゲストが御二人。盟友(?)智六さんと、目下浪曲の
稽古をつけているという志ら門さん。
志ら門さんは落語ではなく公開稽古とのこと、「祭」
に相応しい賑やかな夜だった。
しかしながら申し訳なくもお恥ずかしいことに、
寝不足の上仕事後の疲れやメンタルの不調により、
半分ぐらい半覚半睡の状態だった。
智六さんの高座は、徒然なるままの聖なる酔っ払い
が座して語るシッティング・コメディといった風情。
斬新だ。聴きながら酩酊に同調してしまった。
志ら門さんの公開稽古は本格的で、みね子師匠が曲師。
自身の独演会で一席唸る演目は『明石の夜嵐』。
寄席読みの名人東武蔵の十八番で、福太郎師匠も持っ
ておられ、最近太福さんもネタおろししたばかりの演
目だ。初唸りの演目としては超難物だと思うのだが。
フィギュアスケートで例えれば、初心者がいきなりト
リプルアクセルに挑むようなものではないだろうか。
ともあれ実演⇔指導のやり取りは真剣で緊張感がダイ
レクトに伝わってきた。
現在聴ける東武蔵の音源は、東武蔵が舞台に立たなく
なってから周囲に懇願されて録音されたものと知った。
台本作者は誰なのか、東武蔵自身なのか、『伊勢音頭
恋寝刃』の”前段”とは前日譚の意か、講談の『古市十
人斬り』との関係性他不明な部分が多いので、古典(大
衆)芸能研究畑の方に一度お話を伺ってみたい。
太福師匠のトリネタは超久し振りの「任侠流れの豚次伝」。
そうと分かった瞬間ほぼ気絶していた。
しかし決して聴くのがイヤなわけではない。久し振りに
拝聴できてむしろうれしかった。
某番組の投稿コーナーに自尊心をズタズタに自傷して
オマージュ浪曲を投稿した。採用されたら勝ちや!勝負!
などと勝手に挑戦したつもりでいたが、まさか採用して
頂けるとは思わなかった。
御自分の矜持であるネタを、オマージュとは言え歪めてい
るにも関わらず唸って頂けるとは…!
完敗だ。わたしまけましたわ。
天保水滸伝の侠客の身震いするような格好良さと、「ブヒ」
の滑稽さが同居している奇跡。
挑めばすなわち負け戦。
どうなる本祭。