Impression>Critique

感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

月刊太福マガジン 2018年8月号

2018年8月11日
「月刊太福マガジン 2018年 8月号」
 @渋谷ユーロライブ




立川かしめ「前説」
橘家かな文『締め込み』
玉川太福・玉川みね子『玉川祐子伝』




裏を返した「太福マガジン」。
立川かしめさんは前説を聴く度に生高座を
拝聴したくなるし、橘家かな文さんは非常
に巧者で、とてもまだ前座(近々二ツ目に昇
進されるとのこと)とは思えない。女性の演
じ方にまったく違和感がないのは特異だと
思った。


玉川祐子師匠は、以前太福さんの会(「浪曲
入門」)のゲストとして出演されたとき、貴
重なお話を伺ったことがあるが、御歳95歳で、
広沢虎造と公演旅行を共にしたことがあると
いう、正に浪曲界の生けるレジェンドな方な
ので、それはまるで民俗学でいう「聞き取り
調査」の様相を呈していた。


その時太福さんは、祐子師匠の三味線で、
故玉川桃太郎(祐子師匠の伴侶)の十八番
である『寛政力士伝 越の海勇蔵』を唸
られたのだが、曲師としての祐子師匠は、
現役バリバリで闊達でとてもカッコ良かっ
た。


祐子師匠は小柄でとても可愛らしい方で、
「玉川祐子伝」にはその側面が全面に出
ていたが、浪曲界の生けるレジェンドを
ネタにしてひとつの演目に昇華させ、次
の世代に受け入れ易くした太福さんの
変化球技は効いていたし、伝統芸能はこ
うして生かされていくのだな、と思った。