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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

月刊太福マガジン12月号(最終回)

2018年12月15日
「月刊太福マガジン12月号」(最終回)
 @渋谷ユーロライブ

 


立川かしめ「前説」
玉川太福・玉川みね子
『地べたの二人 「月刊太福マガジン」』
太福・みね子・玉川祐子(スペシャルゲスト)
浪曲コント」




シブラク、というコンテクストそのものを敬遠
していたので、太福マガジンに参加したのは7月
号(6回目)からだった。
しかしやはり一度行けばはまってしまい、本日の
最終回まで参加することができた。補助席まで出
る大入満員。


過去の会から辿り改めて振り返ってみると、こんな
に太福さんの多面性を垣間見ることが出来る会は他
にない。
前説のかしめさん、二ツ目に昇進された文吾さん
(旧かな文さん…て「旧かな遣い」みたいだが)の
高座もあり、で木戸銭1000円はお得に過ぎた。


平たく言うと、このお得感、気楽感は、古典大衆芸能
文化が継承されていくにあたり、とても大事な側面で
あると考えられる。
歌舞伎のように俗物性とステイタス化が際立つと、ダ
イナミズムが硬直する恐れがある。


かしめさんは最終回、ということで、自らの身体を擲
つ勢いで、振り切っているように見えた。会を通して
最も面白い「ご機嫌うかがい」だった。


そして予想に違わず、な感じで御登場のスペシャルゲ
スト玉川祐子師匠。太福さんとの身長差があり過ぎて、
どこに視線を置けばよいか戸惑ってしまったが、ここ
に来て「浪曲コント」を実見できて望外の喜びだった。
「伝説」(レジェンド)の継承。


『忠治山形屋乗り込み』の掛け合いと、みね子師匠の
三味線。このトライアングル、切なくもカッコいい。
そして終演後、「良いもの」を観て聴いたあとの、
自分も含む客の幸福でうれしそうな顔。CDを売る
「店頭」には長蛇の列。


月刊太福マガジンの個人的ベスト高座は、見台をわき
に退け、スカイダイビングの姿勢で唸った(そんな浪曲
師前代未聞だ)『地べたの二人 「上空の二人」』。
次点は「黒太福」な部分が前面に出ていた『紀州のドン・
ファン』。


今回が最終回、というのは寂しい限りだが、また何らか
の形で再開することを切望する次第である。