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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

「玉川太福の青龍刀権次連続読み」第1回

2018年1月21日
第11回赤坂で浪曲
 玉川太福の青龍刀権次
    
連続読み 第1回

  @赤坂カルチャースペース嶋

 


玉川太福・玉川みね子
『地べたの二人~道案内』
『青龍刀権次 第一話「発端」』
~仲入り~
『青龍刀権次 第二話「召し取り」』



青龍刀権次』は幕末~明治時代を舞台とする、
博徒が主人公の講談・浪曲の演目である。
私はいずれでもなく、落語―立川談志の音源で
聴いたことがあるのみで、浪曲で、生で拝聴す
るのは初めてである。



談志版(「談志百席」)は終始地語りで、ピストル
持った悪女が主人公となる「爆裂お玉」の前で終
わってしまうので、少々退屈である。


この「爆裂お玉」は、「爆弾お玉」のタイトルで、
1916年に小口忠が映画化している(日活、サイレント)。
キャスト他は、検索してみた程度では不明である。
しかし、梶芽衣子が演じれば絶対的にはまりそうな
キャラクターだと、多くの人が思うこと必定である。



『青龍刀権次』は、玉川太福さんが入門して三カ月で
逝去された二代目玉川福太郎師匠が得意としていた演
目である、とのこと。期待度はかなり高い。



初めて行く場所であるため、早目に着き、iPhone
Google mapを見ながら目的地まで行こうとする…と、
ばったり。という感じで私服の太福さんと出くわした。
思わずびくう、と硬直して、していたイヤホンをぶばっ、
と引っこ抜いた。少し話した後、「場所分かりますか?」
と会場の場所を教えて頂いた。何と律儀な御方。


早目に着いたから出くわしたのかと思っていたが、
もしかして場所が分かり辛いと考えて、客のために立って
おられたのだろうか...まさか...


そして一席目は、「地べたの二人」シリーズのうち、拝聴
したいと思っていた『道案内』だった。その時は、赤坂と
いう外国人が多く居住する地域だから選んだのだろうか、
と思ったのだが、或いは、上述したことが影響しているの
だろうか。



『青龍刀権次』「発端」「召し取り」。
いつもながら素晴らしい声量。玉川みね子師匠との息も
ぴったり。大迫力。


この「権次」、けっこう情けない男なのだが、啖呵を切る
とき、狼藉をはたらくときに、太福さんの普段柔和な眼、
あるいは口元が、弓月か短刀の切っ先のごとく鋭く、堅固
になる様子がたまらない。痺れます。


ものすごく「いいところ」で「ちょうど時間となって」し
まい、次回第三話「爆裂お玉」、第四話「血染めのハンカ
チ」への期待が、いやが上にも最高潮に達するのであった。




蛇足:
(傍若無人を「オトコの粋」と勘違いしている愚鈍な輩は、
フィクションの世界なら笑って済ませられるが、現実に
居ればイタくて鬱陶しいだけだ。後生だからどんな形
でも関わってこないでほしいものである)