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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

太福たっぷり独演会

2022年3月26日(土)

 

「太福たっぷり独演会」

 なかの芸能小劇場

 

玉川太福・玉川みね子
『北の国へ’22』

玉川太福・玉川 鈴
『青龍刀権次第二話「召し捕り」』

~仲入り~

太福・みね子
『サカナ手本忠臣蔵「オオイカ東下り」』



 

朝10:00開演がやや試練だったこの会は、
あと3回で区切りとのこと。
そうと知ると寂しいような気がする。
土曜日のことが多く、前日の仕事の疲れ
から起きられず、チケットを無駄にして
しまったこと数回。勿体ないことをした。

 

『北の国へ'22』はソーゾーシーでネタ
おろしをしたエッセイ浪曲
現代浪曲においてこの”エッセイ浪曲”とい
うジャンルを確立したのは太福さんだと言
えるだろう。
リア充家族の微笑ましさ、水風呂ならぬ雪
原へのダイブ描写が生き生きと表現される。
「サウナの口(体)になってる」というフレー
ズに爆笑。

 

『青龍刀権次第二話「召し捕り」』は、CD
玉川太福の世界~古典編~」に収録されて
いる。ライブで拝聴したのは久し振りだ。
花見の季節が舞台なので、時節柄ということ
もあるのだろうか。
権次が吉原で花魁とやり取りする際の花魁の
台詞「ねえいもうと女郎がおちゃひいてるん
だけどぅ」などが、コケティッシュで良い。
いつも思うが、太福さんが演じる女性には男
性演者によくある違和感があまりない。理由
は分からない。
立川談春師もそうなのだがそれはまた別の話。


『サカナ手本忠臣蔵「オオイカ東下り」』。
このシリーズは一旦休止中だが、7月に再開
するとのこと。

出世魚のように進化し、水物だけに(?)良い
意味で掴みどころがないのが「サカナ手本忠
臣蔵」の魅力だが、SNSの感想ツイートを参
照すると、半信半疑で受け入れ難い、という
意見も少数だがみられる。
私自身は当初は探り探りだったが、客として
感想を述べることで参加し、話が進んで色々
な場面が積み重なるに従い、今ではもうサカ
ナ以外には考えられなくなった(魚ではなくイ
カとか貝だけど)。
昨今流行りの言葉で言えば、その積み重ねが
エビデンスになったということだ。

一方で、とにかく無条件に全肯定の態度はあ
る特定の客と演者の関係性を保つうえで必要
なことであろうけれども、演者と客が一体感
を得ることと、ただ馴れ合うことは意味も質
もまったく違う。

ひとえの迎合は、何であれ対象を温め過ぎて
駄目にしてしまわないだろうか?
…などと浪曲にわか客の分際で不遜なことを
言っているが、このサカナ手本~の会は、客
席でいつも同じ何某が同じ何物かをあたため
ているのでだいぶ海水が温くなってきた印象
があり、7月に再開する会も客席が同じ状況
なら疑念が強まる。

水風呂はキンキンに冷えているのが至上では?

浪曲という話芸そのものが好きなうえでファン
なのであり、腐すのが目的で会に通う程バカで
も物理的余裕もないし、断じて芸以外の何かの
方を重んじているわけでもない。

(あ。最近理不尽なことが重なって心が焦げ付い
ているので余計なことを書いているという自覚
があるけど客観的に見て間違ったことを述べて
いるとも思えない)


何はともあれ、マクラで話された浪曲協会理事
復帰の朗報は、本当に喜ばしいことと思いまし
た。ファンですみません。

終演後帰る際、赤いジャンパーを着た男性が楽
屋に入って行くのを見て、おっ弟子入り志願者
か?と思ったが、後で目下『明石の夜嵐』を習っ
ている立川志ら門さんだと分かった。