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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

玉川太福の浪曲入門その10

2017年10月22日
玉川太福浪曲入門その10」
 @西新宿ミュージック・テイト



港家小そめ/玉川祐子『(不勉強のため不明)』
玉川太福/沢村美舟
男はつらいよ 寅さん故郷へ帰る』(前)
玉川祐子師匠のお話をうかがうコーナー
玉川太福/玉川祐子
『寛政力士伝 越の海勇蔵』
(「越の海勇蔵」は故玉川桃太郎師匠の十八番、とのこと)



二年前に逝去した浪曲師玉川桃太郎師匠の伴侶で、
御歳95歳の玉川祐子師匠のお話を聴くのがメイン
の会。曲師としても闊達で、とても95歳とは思え
ません。カッコ良かったです。



9
5歳(大正11年生)で戦前から浪曲師・曲師として
活躍されている(広沢虎造と公演旅行を共にしたこ
ともあるとのこと)方のお話を拝聴するということ
は、ほぼ民俗学で言うところの「聞き取り調査」
と同じ行為と言っても過言ではない。



太福さんは表情豊かに、会場の壁や床を振動させ
るくらいの声量で、今回も痺れた。
『寛政力士伝』は講談も落語もあり、落語は立川
流の「力士もの」と言えば、なあの御方が演じて
おられる。あと美舟さんは相変わらず可愛かった
(お約束)。



私は本来「浪花節的なもの」は性に合わないはず
なのだが、何故太福さんの浪曲に惹かれたのか不
思議である。以前ここにも書いたけれど、初めて
『仲村仲蔵』を拝聴した時の感動は、未だ脳裡に
鮮明に残っている。こういうことはやはり理屈で
はないのだろう。



ひとつ言えることは、太福さんには「品」がある。
節を唸る前に、手拭で口を拭う仕草が、大変魅力
的である。

 

ミュージック・テイトの「ぶら~り寄席」の会場
は、両側の壁の棚に落語その他のCDがぎっしり
並べられているが、例のごとくうっとりと眺めて
いたら、志ん生小三治師のCDの中に、見慣れな
い演目があるのを見つけた。



落語蔵出しシリーズ(3)幾代餅餅の由来/ふたなり
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この『ふたなり』という演目。



柳家小三治II-4 ドリアン騒動~備前徳利-「朝日名
人会」ライヴシリーズ45 ソニーミュージックエン
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こちらは『備前徳利』。



ふたなり』は志ん生(米朝が偶に)、『備前徳利』
小三治師しか高座にかけない(かけなかった)ら
しいが、何故だろう。粗筋を読むと、確かに『ふた
なり』は内容があまり面白くないし、LGBT的によ
ろしくないからだろうと思われるが、『備前徳利』
は何故小三治師の専売なのかは分からない。


前回に続き、今回も浪曲界の生けるレジェンドの
お話をうかがい、曲師としての凛々しいお姿・演
奏を拝見、拝聴することができて、大変有意義だっ
た。


ひとりの自我肥大した裸の王様の、自尊心を納得
させるためだけに600億円が無駄に消費されたイ
ヴェントに参加し(結果として抵抗虚しく敗れた
わけだが)、台風が近づき、激しい雨が断続的に
降るなか、新宿に出向いた甲斐があったというも
のです。