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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

第1回 玉川太福”月例”木馬亭独演会

2017年11月4日
「第1回 玉川太福”月例”木馬亭独演会」
  @浅草・木馬亭




玉川太福/玉川みね子

『地べたの二人 おかず交換』
天保水滸伝 鹿島の棒祭り』
~仲入り~

ちんどん演奏/ちんどん月島宣伝社

太福/みね子『若き日の大浦兼武』



今年の7月に初めて太福さん(&みね子師匠)の浪曲
を拝聴・拝見して衝撃を受けてから、4ヶ月が経過
し、とうとう浪曲の定席・牙城木馬亭に足を踏み入
れた。浪曲熱(と言うか太福熱と言うべきか)はまだ
冷める気配がない(当初よりは少し冷めたかもしれ
ない)。




記念すべき第1回は満員御礼、演目は常連の方には
お馴染みの三席。


『地べたの二人 おかず交換』は太福さん自作の新
浪曲で、市井の人々の日常風景を細かく切り取っ
たスケッチ風。特に「オチ」はない。



浪曲も講談も、落語の基本構造の一環であるところ
の「オチ」がないので、「丁度時間となりました~」
という言葉等で「ぶっちぎられて」終わる。
『地べたの二人 おかず交換』は、それを逆手に取り、
浪曲の古式ゆかしき構造をそのまま使っている。
面白い。




天保水滸伝』は任侠物で、玉川一門のお家芸
突然現れる「犬婆」がコケティッシュで愉快。



仲入り後は浪曲師でもある港家小そめさんが所
属する、ちんどん月島宣伝社さんが賑やかに盛
り上げ、大盛況。



『若き日の大浦兼武』は立身出世物で、
国本武春師匠から太福さんが譲り受けたという。
「譲った」方は、その後その演目をかけなくなる
そうで、国本武春師匠も特別な場合を除きかけな
くなったそうである。




太福さんは絶好調で、マイクいらずの素晴らしい
声量。「語り」で下手に睨みをきかせるときの眼
光が、小刀のごとく鋭く、突き付けられているよ
うで少しどきどきしてしまった。



これから毎月行われる独演会、可能な限り伺いた
い、と思わせられました。