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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

第五回 玉川太福”月例”木馬亭独演会

2018年3月3日
「第五回玉川太福”月例”木馬亭独演会」
 @浅草木馬亭



玉川太福・玉川みね子
『「忠臣蔵 大石東下り」より『武林の粗忽』』
『地べたの二人~道案内』
~仲入り~
大利根勝子・玉川みね子『梅山家の縁談』
玉川太福・玉川みね子
『任侠流山動物園~流山の決闘』(作・三遊亭白鳥)




当日は雛祭りだったため、ひなあられを頂く。
何気ない心配りがうれしい。



この日は初めてのゲストとして、大利根勝子師匠が
御登場。太福さんの独演会を御夫婦で観に来る予定が、
それなら是非ゲストとして御出演を…となったらしい。



勝子師匠は、通常はあまりマクラで話されたりはし
ないとのことだが、この日は太福さんの下積み時代
(稽古をつけてもらうために、普通列車で群馬の勝子
師匠の家に通っていた)の話を涙ながらに語られ、
身につまされるような気持ちになって、少々涙ぐんで
しまった。



そんな苦労を重ねて浪曲師として成長した太福さんが、
文化庁芸術祭賞新人賞を受賞され、勝子師匠の喜びは
如何ばかりか…



勝子師匠は目が不自由だが、浪曲を唸るにあたって
それは瑕疵などではまったくない。合間に湯呑みを
取るのに少しだけ困るぐらいだ。



そんな浪曲の異名浪花節、に相応しい柔和な雰囲気
のなか、少し春めいてきて暖かかったせいか、一匹
の大きな蝿が場内に進入してきて、演者の周囲を飛
び回って失笑をかっていた。



どんなに格好をつけていようと深刻な顔をしていよう
と、蝿はその存在だけですべてを台無しにする。
こういうとき、蠅は今は亡き人が乗り移ってきている、
と実しやかに言われるが、この日のそれは誰だったの
だろうか。福太郎師匠か、はたまた国本武春師匠か…