Impression>Critique

感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

白鳥ジャパン雪月花

2017年10月9日
創作落語30周年記念リロード
 白鳥ジャパン雪月花~200席の
        中からどれを?~

 @日本橋三井ホール





三遊亭白鳥『真夜中の襲名』
     『牡丹の怪』
~仲入り~
     『雪国たちきり』



いつもはすぐ近くにあるお江戸日本橋亭で、
「勉強会」という名目
の刺激的な独演会をひら
いている白鳥師。
セレブ感満載の三井ホールでの
創作落語30周年記念」と銘打った
この独演会、
ギャップが甚だしい。しかし客の多くは(私もその
うちの
ひとりだが)、そのギャップをこそ愉しもう
として集っているのである。



勿論普段あまり高座にかけることがない演目を
三席、ということへの期待が大きいのも確実で
ある。何やら厳かな雰囲気のお洒落気なホール
で、座布団に技をかけたり、造花を振り回した
り、扇子を高くぶん投げたりする「白鳥メソッ
ド」に、客は各々ほくそ笑んでいたに相違ない。


『真夜中の襲名』。
「SWA」時代に作られた噺。舞台は動物園。
そのアイロニーは『任侠流山動物園』に通じる
ものがある。


『牡丹の怪』。
要するに『牡丹燈籠』なのだが、何故か新三郎
がミミ師(柳家三三師)で、その師匠である所の
人間国宝がキイ・パーソンとして登場する、
白鳥ワールド全開の噺である。


『雪国たちきり』。
東北地方を舞台とした『たちきり』。
普段白鳥師の高座ではあまり拝聴することがない、
切ない人情噺。
津軽三味線のアグレッシヴさが、『たちきり』の
静謐なオチとは趣を異にしていた。
しかしその圧倒的な音に吸い込まれそうになりつつ、
涙腺が緩んだ。


三井ホールは会場の形式が流動的なようで、この落
語会では前方がフラットな床に可動椅子を並べた形
で、後方が階段状の不動椅子だった。予測通り、フ
ラットな前方の後ろ部分は、前の席の客に阻まれて
大変高座が見難い。それなら後方の階段状の席の方
がまだ見易い。


対照的なお江戸日本橋亭と、日本橋三井ホール
その両方で高座をつとめられてこそ、「本寸法」と
いうものなのだろう。