Impression>Critique

感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

雲助蔵出しぞろぞろ2016冬

2016年12月25日
「雲助蔵出しぞろぞろ」
 @浅草見番




柳家小多け『道灌』
入船亭小辰『転宅』
五街道雲助『蔵前駕籠』『首提灯』
~仲入り~
     『火事息子』

 


例年だと志らく師のよみうりホールでの独演会が
落語納めなのだが、今年は雲助師の独演会が落語
納めとなった。自分としては、極々小さな冒険です。



「見(検)番」とは、
「その土地の料理屋・芸者屋・待合 (まちあい) の
業者が集まってつくる三業組合の事務所の俗称。
また、近世、遊里で、芸者を登録させ、客席に出
る芸者の取り次ぎや玉代 (ぎょくだい) の計算など
の事務を扱った所。」
である。



降誕祭(クリスマス)に浅草見番で落語。無宗教
無神論者の愉しみ。
しかし浅草界隈はクリスマスなんぞ何所吹く風で、
お詣(参)りのひと、外国人観光客で大賑い。
浅草見番近くの世界一濃い抹茶ジェラートで有名
「壽々喜園」には、長い行列が出来ていた(抹茶
味があまり好きではない私は華麗にスルー)。



会場は120人程度のキャパシティ。ほぼ満席。
畳に座布団。
やはり落語という芸能は、このくらいの規模でな
いと生き(粋)ないのだな、と思わせられた。
以前志の輔師が神奈川かどこかの大ホールでの独
演会のマクラで、
「落語は本来こんな大きな会場でやるものじゃない」
と言っていたことを想起する。


客はやはり「通」っぽいご老人、中高年多し。
しかし若い男女もちらほら。何故か横にも縦にも
広い体格の男性が多く、首を伸ばさないと雲助師
見えず。さらには空調が効きすぎて、酸欠一歩手
前状態。



雲助師は、現代の江戸落語を体現する落語家さんの
ひとりで、その所作、佇まいがとにかく格好良く、
美しい。うっすらと滲み出る成熟した男性の色気が
たまりません。
終始見惚れて、あっという間にお時間に。
三席堪能させて頂きました。