Impression>Critique

感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

”新春を寿ぐ”立川談春

2017年1月3日
東京国際フォーラム開館20周年記念事業 J-CULTURE FEST/
                                        にっぽん・和心・初詣」
「”新春を寿ぐ”立川談春



立川談春『粗忽の使者』
    『妾馬』

 



音楽関係では頻繁に来ているが、落語会で東京国際
フォーラムに来るのは初めてである。
タイトルにある通り、この第三セクターによる複合
施設が開館してから、20年の月日が経ったわけだ。
感慨深いものがある。
その事業の一環としての談春師独演会。
というわけで、今年の落語初めは談春師。



フォーラムAでもCでもなく、B5と知ってやや厭な
予感がしたが、やはり臨時的にパイプ椅子を並べた、
客席がフラットな会場。
恐らく主催者(談春師のマクラによれば、某国営放送
がからんでいるらしい)が落語会のことなんざてんで
ご存じないのだろう。



寄席囃子の後に学校でよく鳴らされるチャイムが鳴っ
たりなど。
せっかくお囃子が生演奏なのに、不粋です。



こういうイヴェントの場合、段取りが命である。
談春師も「とにかく必ず時間通りに終わるように」と
云われたらしい。
この日は落語会の後、同会場では雅楽の演奏が予定さ
れていた。



さて私は事前に、そいう趣旨の落語会なら絶対『粗忽の
使者』『妾馬』のセットをかけるだろう、と予想してい
たのだが、的中した。
時間は1時間半、「仲入り」なし。
このセット、6年前に談春師の独演会に通うようになって
最初の頃、何度か拝聴して以来で、何やら懐かしさがこみ
上げてくる。



「下」の方だったので、八五郎が母親に向かって「ババア!」
と連呼するとき、自分に向かって言われているようで、何だか
不愉快に(自意識過剰)。
案の定、丁度斜め前、高座への視線上の席のおっさんが、終始
こっくりこっくり居眠りをしており、頭が下がると高座の談春
師がほとんど見えなかった。



そして流石談春師、予定の3分程前に終了。
手締めなし、は意外だったが、幕がないので、客が退出するま
談春師が見送って下さるとのこと。そんなことは初めてです。
だが、談春師がずっと何か喋っているので、帰らない客もいる。
前の方の席の一団は、立ち上がろうとしない。
私とて「志の輔がPARCOでやらないから…だから品川プリンス
で…」とか何とか喋っている談春師を尻目に帰れるはずもない。
来る時広場で骨董市が開催されているのを見たので、早くそちら
に行きたかったため、小声で「早く帰って!」と呟いてしまった。
間もなく立ち上がられたのを確認して、会場の外へ出た。




骨董市はそろそろ店じまい、な雰囲気だったが、なかに近代の
小皿・豆皿を扱っているお店があり、定番の印判から、口銹・
蛇ノ目凹形高台の輪花皿が想定より手頃な値段で売られていた。
輪花皿は幕末ぐらいなのでは?と一瞬思ったが、コバルト染付
だったので、確実に近代だ。
お店の人がシールが付いているものは2割引き、などと誘惑して
きたが、何とか堪えた。他のお店では、みじんこ手・碁笥底の輪
花猪口(蕎麦猪口)に35,000円の値札がつけられ、さらに半額、と
書かれていたが、それでも買えるはずもない。他に英国製の薬瓶、
氷コップなどのガラス類も散見され、目の保養をさせて頂いた。



その後、Books Kinokuniya Tokyo(元新宿紀伊國屋書店南店)の洋書
初売りへ。毎年ここで輸入もののカレンダーを購入するのだが、
いつもあまり残っていない。今年もラファエル前派を購入。
新宿紀伊國屋書店南店は、洋書部とサザンシアターを残し、
ニトリに買われてしまった。


万物は流転す。Ta Panta rhei.