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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

ルドンとその周辺―夢見る世紀末展

2012年1月31日

ルドンとその周辺―夢見る世紀末展
三菱一号館美術館



三菱一号館美術館は、前から行きたかったのだが、
なかなか観たいと思える展示がなかった。
ようやくこれは、と思える展示が始まったので、
夕方から落語会に赴くよみうりホールに近いため、
仕事を少し早く上がって行ってみた。



建物は煉瓦造りの近代建築で、趣満点。木の床が
軋む音が耳にこそばゆい。



あまり期待しないで行ったのだがなかなか楽しめた。
ルドンは晩年の鮮やかな色彩あふれる絵よりも、
「黒の時代」が好きだ。目ん玉シリーズや、ユーモ
ラスな蜘蛛など。



展示の目玉は当美術館が購入した(おいくら万円だった
のだろう。億はしそうだ)という、『グラン・ブーケ』
個室が与えられていた。思っていたより大きい作品。
ゴッホ『ひまわり』を思い出してしまった。
シチュエーションだけの話だが。



しかし最も魅かれたのは「その周辺」として展示されて
いた、ギュスターヴ・モローピエタだ。
十字架にかけられたイエス・キリストを、聖母マリア
抱きかかえる場面。
どこに魅かれるか、など表現できる言葉を持たない。
素晴らしい。何時間観ていても飽きないと思う。



「その周辺」、他はゴーギャンとかマックス・クリンガー
だったが、手薄のように思えた。ムンクもあったけれど。
ヤン・トーロップとかジャン・デルヴィルあたりがあれば
もっと良かった。



それにしても、「順路」が複雑だ。何度も何度もガラスの
扉を通らなければならないので、無限回廊を想像して甘美
な眩暈を覚えた。そここに立つ案内(監視)のお姉さんたちが、
その眩暈を増幅させた。



この眩暈を体験するために、また訪れたい気持ちになった。