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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

ザ・ビューティフル/LFJ2014

2014年5月4日

●「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900」
 @三菱一号館美術館



3月に行った森アーツセンターギャラリー「ラファエル前派」
展と同時代の英国世紀末美術展。
黄金週間であること、近くでイベント(ラ・フォル・ジュルネ
オ・ジャポン)が催されていることが相俟って激混み。
気持ちが萎えたが、自らを鼓舞して列に並んだ。



展示は全体的に見ると薄めの印象で、建築物の設計図が目立っ
たが、恐らく実見初のエドワード・バーン=ジョーンズ『ヘス
ペリデスの園』の、青系統の眼が覚めるような色と、クリムト
的金箔の装飾性に惹きつけられた。


そしてもう一点、シメオン・ソロモン『月と眠り』。
清冽な空間に、美しい男「精」が「役者絵」のごとく描かれ
る構図。暫し立ち止まって眼を和ませた(人が次々来て儘なら
なかったが)。



アルバート・ムーア『夢見る人々』は、状態が悪いという理由
で出展中止になった由。残念。




●「LA FOLLE JOURNÉE au Japon ラ・フォル・ジュルネ

 オ・ジャポン2014 Jours de Fêtes 10回記念 祝祭の日」



○215 @東京国際フォーラムホールA(プーシキン)

モーツァルト/レクイエム K.626
ミシェル・コルボ(指揮)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ローザンヌ声楽アンサンブル
レティツィア・シェレール(ソプラノ)
キャサリン・ピロネル・パチェッタ(アルト)
クリストフ・アインホルン(テノール)
ピーター・ファーヴェイ(バリトン)



コルボ氏十八番のフォーレのレクイエムと、どちらにしようか
迷ったが、偏愛する作家ジャン・ジュネが、死去する一週間
ぐらい前からモーツァルトのレクイエムをずっと聴いていた、
というエピソードを想起し、こちらにした。素晴らしかった。


レクイエムを聴きたい、と想うのは、
死への予感からか、或いは不安からだろうか?
私の場合は恐らく後者だ。



○227 @東京国際フォーラムホールB7(ゲーテ)

シューベルト/八重奏曲 ヘ長調 D803, op.166
ジャン=マルク・フィリップス=ヴァリャベディアン(ヴァイオリン)
幣隆太郎(コントラバス)
フォル・ジュルネ・カメラータ:
ラファエル・セヴェール(クラリネット)
マルソー・ルフェーヴル(ファゴット)
ニコラ・ラメズ(ホルン)
クレモンス・ドゥ・フォルスヴィル(ヴァイオリン)
ベンジャミン・ベック(ヴィオラ)
オーレリアン・パスカル(チェロ)


こちらもベートーヴェン/七重奏曲とどちらにしようか迷ったが、
モーツァルト/レクイエムと同日のこちらを選んだ。
七重奏や八重奏は、あまり聴く機会がないうえ、
こんなリーズナブルなチケット代で聴けるなど、滅多にない好事
である(この音楽「フェス」全体がそうではあるのだが)。


「カメラータ」とは、

ルネ・マルタンが南フランスで開催する音楽祭ラ・ロック・
ダンテロンに集まった、若いトップソリストたちで構成され
る室内アンサンブル・プロジェクト。可変のメンバーによる
「カメラータ(16世紀のフィレンツェに生まれた、志を同じ
くした文化人によるサークル)」で、今回はパリ音楽院の学
生を中心にラ・フォル・ジュルネのために来日。



とのことで、ルネ・マルタンはこのフェスのディレクターである。



演奏は素晴らしく、陶然とさせられた。我ながら、長調の曲を聴
くのは珍しい。
ただついつい俗物根性が出てしまい、眉目秀麗なお兄さんに眼が
行ってしまった。



クラリネットのラファエル・セヴェール。既にお姉ちゃんファン
多数、大人気。

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ヴィオラのベンジャミン・ベック。ベルリン・フィル・オーケストラ・
アカデミーやらソルボンヌやらと、神というものが存在するのなら、
与えすぎだろ、贔屓すんなよ、と言いたくなる。妬ましい。
是非ソロの演奏を聴いてみたい。

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015のテーマは分からないが、
来年もミシェル・コルボ氏の御尊顔を拝することができますように。