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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

春、クッションは鈍色の。

2010年5月26日

立川談春独演会2度目。
at八王子市芸術文化会館いちょうホール
チケットが買えたので仕事後に行きました。


こちらの方まで来るのは10年振りくらいではなかろうか。
いちょうホールには初めて来た。本降りの雨の中、少し
駅から離れた場所までそぼそぼ歩く。


席は前後左右から見て本当にど真中の席。客層はアラフォー
以上の女性が多いようだ。ほぼ満席?後ろは確かめなかった
から分からない。隣の席のおばちゃんとか、靴ぬいで胡坐…


前座は春樹さん…?すみません分かりませんでした。


師匠登場、一席目は過日厚生年金会館で聴いた『粗忽の使者』
で、八五郎出世』『妾馬』めかうま)。

この噺には続きがあり、


八五郎は、名を改めて石垣杢蔵左衛門蟹成(いしがき
もくぞうざえもんかになり)となり、ある時、使者の
役を仰せつかり馬に乗って出かけようとするが、馬術
など知らないので怖々乗るうち、馬が駆けだしてしまっ
た。止め方も分からずただ鞍にしがみついていたが、
運良く家中の者が通りかかり、止めてくれた。
「これはこれは、石垣氏、早馬でいずこへ参られる」、
「馬が知っておりましょう」。
という、これが別題『妾馬』の由来であるという。



さらに噺は続き、八五郎は武士が嫌になって職人に戻り、
真面目に仕事をして棟梁となり、所帯を持って、おっか
さんも安心、目出度しとなる次第。



体調が芳しくなかったせいか、あまり笑えなかった。
9時過ぎに終わったが、何で談春師匠は「遅くなっちゃい
ましたね」とか気遣われるのでしょうか。また、面白かっ
たと思ったら御願いします、と、宮崎牛口蹄疫支援募金
を募っておられました。



家元に倣い弟子である談春師匠も移動は電車だ、とTV
(「情熱大陸」)で仰っていましたが、こんな僻地に
も電車でいらしたのでしょうか。ここで落語をやるの
は初めてとのことですが。



帰り、傘を差しても濡れるような、けっこうな降りの
雨の中、立川流、この地名、ということで、TVの構成
作家から直木賞作家になり、新興宗教に入信し、最後
に自殺してしまったある人物のことを想起していました。



談春師匠はまったく思い及ばなかったでしょうか。



タイトルは、A・ランボオの詩の一節「冬、クッションは
空色の…」を踏まえている。