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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

初談春

立川談春25周年スペシャル独演会
             THE  FINAL」


談春師匠の落語を生で聞くのは初めてです。

場所は新宿の東京厚生年金会館
ここは2002年に21st  Century  Schizoid  Band(元King  Crimson
メンバーが中心となった、往年のファンには涙もののバンド)、
2003年に現在は活動停止状態の、現役King  Crimsonのライヴが行
われており、両方行っている。ロック・コンサートが行われるよう
な場所(収容人数約3千人)で落語独演会…?と思ったが、東京厚
生年金会館が今月末で閉館になること、談春師匠にとって思い出深
い場所であること、等を知って納得した。



スペシャル独演会のため、空くじなしの三角くじ引き(残念ながら
ポストカードでした)、「談春ガチャポン」「談春チロルチョコ
など、お祭りムード全開。客層は正に老若男女バラバラ。


席は2階だったのですが、厚生年金の客席の角度、こんなに急でし
たっけ?ちょっと足がふらついてしまったぐらい。他の人も言って
いたので急なのは確かだと思います。



で、そろそろ開演時間、という頃になって、席を2列間違えて座っ
ていたことに気づいた。カップルだか夫婦だかの男性の方に「あの、
その席って」。と言われたのである。間違えた私が全面的に悪いの
は確かだが、もう少し言いようがあるのでは?「席間違えていませ
んか?」とかね。「すみません」と言っても無視。しかし、おお。
2階席までほぼ満杯。それも追加公演、さらに昼の部なのに。
すごいですね談春師匠。ここからはミニチュアの人形ぐらいに見え
ます。



思い起こせば、本格的に落語を好きになったのは、中学生の時、
学校の図書館で落語の噺を文章化したシリーズ本を読んだのが
きっかけだった。純粋に「お話」「話芸」として好きだったの
で、志ん生とか米朝とか小さんとか、顔と名前が一致しません
でした。現在も蘊蓄を語れる程の知識などないし、ディープな
落語好きで寄席に通っている人とか正直敬遠する。


今好きなのは立川談志家元率いる立川流一門の落語家ですが、
これは十数年前にフジTVでやっていた深夜番組「落語のピン
がきっかけである。毎週すんごく楽しみにしていました。
DVD化されているので、欲しい…しかし懐が…。



そして開演。話の合間に、背後のスクリーンに余興的VTRが
映し出される。談春師匠が最も影響を受けたのが古今亭志ん朝
だということを、初めて知りました(『赤めだか』は未読です)。



まずは『粗忽の使者』、続いて愛宕山。当時愛宕山では、
谷底の的に向かって「かわらけ」(素焼きの小皿)を投げる
遊びがあったらしい。旦那がかわらけの代わりに小判を持ち
出して的に投げるという趣向、そこで幇間の一八が勿体ない
と、何とかしてそれを拾いに行こうとして…



噺の前に、スクリーンに談春師匠が実際に「かわらけ投げ」
をする映像が映された。現在は高雄山神護寺で出来るらし
い。おっ。「白かわらけ」だ。やっぱり京都だから?という
のはこちらの話。回転しつつ見事にひゅるひゅるーっと谷底
へ落ちて行った(的はない)。


噺の方は、最高に面白い。


20分程の仲入り後、最後が『たちきり』。そこで不覚にも、
師匠のあまりにも流暢な話しっぷりに、つい、中途、うとう
とっと。疲れが溜まっていたせいか、気持ち良くなってしまっ
てつい…あああ。勿体ない。申し訳ない。もっと前の席だった
ら怒られそうだ。談志家元だったら摘まみだされるな。



5月の独演会のチケットが買えたので(まだ届かないのでどの
辺の席かは不明)、その時リベンジ(何に対して?)。独演会
昼の部終了、厚生年金会館周辺は動けない程の人。ここがなく
なってしまうのも寂しい。そして新宿も、だんだん渋谷化しつ
つあるように感じられた。人多過ぎ。久し振りに紀伊國屋書店
に行ってドゥルーズの『Pli』を買おうと思ったらなかった。
翻訳さえ置いてないし(それってどうなんだ)。代わりに10年
振りに出た『ガラスの仮面』(文庫版)と、よしながふみの初
期作品『こどもの体温/彼は花園で夢を見る』(こちらも文庫
版)を購入して帰宅。