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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

立川談春新春独演会2016

2016年1月11日
立川談春新春独演会2016」
 @よみうりホール



立川こはる粗忽の釘
立川談春明烏
~仲入り~
立川談春『子別れ』(下)



下町ロケット』『赤めだか』のドラマ効果でチケット
買えないんじゃないかと思ったが、奇蹟的に買えた。
ということで、2016年の初落語は談春師。



よみうりホールに行く途中の電車内でTwitterを見ていたら、
デヴィッド・ボウイ死去」のニュース。誤報ではなかった。
あまりの衝撃に高座を聴きながらもほとんどうわの空だった。



しかしながら、こはるさんの高座を久し振りに聴けてうれし
かった。女性で正攻法の古典落語を演じるのは難しい、とい
つも思わせられる。
アニメで少年の声の役を女性が演じる、ということはよくあ
るが、成人男性まで演じることはまずない。つまり、女性が
落語で熊さんや御隠居を演じても、皆子供っぽくなってしま
う、ということだ。



それにしてもこの演目チョイス。分からない。



一昨日(何故か中一日間があった)は『粗忽の使者』『妾馬』
という、お正月にめでたい出世噺および談春師高座初体験
にぴったりで納得できるが、今日の『明烏』はまだしも『子
別れ』ってどうなんでしょう。まず、すごく「長い」と感じ
てしまいました。



「冗長」という言葉を使ってしまうのは、私が個人的に『芝
浜』や『子別れ』などの、家族愛人情噺があまり好きではな
いからかもしれない。
談春師の十八番である『紺屋高尾』や、『たちきり』を聴い
ても涙腺が緩んだことはない。



そう言えば談春師はマクラで「その役になり切るなんて、出
来るわけがない」と言っていた。なるほど、そうすると談春
師は指揮者タイプの落語家さんなのですね。つまり演じる自
分を客観的・俯瞰的に自分で見てしまう。だから悪く言えば
理屈っぽい、ということなんですね。




明烏』で源兵衛(多助)が甘納豆食べながらぶつくさ言う場面。
愚痴までが理屈っぽくて、笑ってしまう。



『子別れ』は予定調和で正直退屈で途中船漕いじゃっておま
けにそれまで出なかった咳まで出始めてしまって困った。
(うるせえ、ってつまみ出されてしまうのではないかと。談春
が怖くて怖くてもう)



例えば、談志の弟子であるからには、その日の気分によって、
演目変えてしまってもいいのではなかろうか。
恐らく文句を言うひとはいないと思う。
(個人的に『子別れ』が好きではないのは私だけですねはいはい)



今年こそは『らくだ』『包丁』を聴くことが出来るのでしょうか。
ここまで聴けないと、だんだん麻痺してきてしまいました…