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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

立川談春独演会2022@戸田

2022年3月6日(日)

立川談春独演会2022」

 戸田市文化会館

 

立川春次郎『十徳』

立川談春厩火事

~仲入り~

    『御神酒徳利』

 

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談春師が青春を過ごした地、埼玉県戸田市での
独演会は会館工事を経て4年振り。

噂の新弟子さん、春次郎さんを初めて観て聴いた。
こはるさんに続き無事に二つ目になられますように。
初高座の演目として『十徳』を選んだ理由は何だろう。

詳細は書かないが、落語界の現状と勢力図他を
世界情勢に喩えて洞察するマクラが非常に面白
かった。
さらには談春師の口からジェンダーコンプラ
イアンスめいた言説を聞けるとは思わなかった。
生来の勘と分析力で得た知見で、それが現実な
ら仕方がないが腑に落ちないといった様子では
あるが。

ハラスメントを考慮してたら落語なんかできな
い、と仰るが、当てる枠が違うのだと思う。
人間は記憶する生物であり、内容だけでなく、
枠そのものさえ記憶できるのだ。
それ故古びた枠を破壊しても何の問題もない。

そんなマクラからの『厩火事』。なるほど。
髪結いの亭主」は前近代的なのか現代的なのか。
わたしと古いだけのガラクタ、どっちが大事なの?
ってやつ。
スタンダードでは「瀬戸物」だが、談春師は独特の
拘りがあり、「青磁、破片」という設定。龍泉窯産
だろうか?
しかしこの設定とクスグリが妙に可笑しい。


『御神酒徳利』。最近よくかけておられるが、
新機軸の意図は感じられず、ごく普通に淡々と
語られている印象だ。それこそが目的なのかも
しれないが、うまく行き過ぎで予定調和な感じ
が拭えない噺なので、立川流噺家さんがかけ
る演目としてはやや物足りなく感じてしまう…
って偏見以外のなにものでもない>笑

恒例の三本締めで幕。


埼京線にはこの談春師独演会@戸田市に行く時
ぐらいしか乗らないのだが、「浮間船渡」とい
う駅名(歴史がありそうだが、どっこい埼京線
業と同じ1985年設置)と、趣が素晴らしい第一硝
子工場の煙突を見るのが小さな楽しみだ。
いつも写真を撮るのを忘れる。今回も忘れた。
次に乗るのはいつのことだろう。