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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

立川談春 独演会 2018ファイナル

2018年12月18日
立川談春独演会 2018ファイナル」
 @新宿文化センター 大ホール




立川談春『替り目』『鼠穴』
~仲入り~
    『芝浜』





平日夜に18:30開演は辛い。しかし「ファイナル」
とあらば、諦念を引きずりながらも『鼠穴』の途中
から。
やや前の方の席だったので申し訳なさが先に立つ。
マクラ一切聞けずだが、下町ロケットの話だったら
特に聞きたいわけでもない。『替り目』全飛ばしだ
が、夫婦仲睦まじい人情噺は、特に好きな噺ではない。


さあ『鼠穴』。静寂のなか、悪夢を見てうなされる
竹次郎。とそこへ客席から俄かに湧きおこる騒乱。
というと大袈裟だが、女性か子供の感高い声が騒が
しい。おい、高座中だぞ。
「大丈夫大丈夫!」とかずっと叫んでいる。

後で知ったことだが、二階席で人が倒れていたらしい。
大丈夫、とは、談春師の高座を拝聴したかったが故の
言葉だったのだろうか。

その後携帯の着信音が鳴ったりして、談春師、さぞか
し集中力が殺がれたただろうな、と思ったが、何やら
談春師御自身の様子がおかしい。


どうやら「昨日飲み過ぎた」とのことで、何か分から
んがぐだぐだな感じで、大変心もとない。高座は何と
か軸を保っていたが、
頻繁に湯呑みの茶(?)を飲んだ
り咳き込んだり、大丈夫なんでしょうか?と素で心配
になった。

そしてこんなだらしない(と言う表現が適切かどうか分
からないが)春師の高座を拝見拝聴したのは初めてで、
かえって新鮮に映った。


『芝浜』。夫婦間の機微、には疎いので、どうしても
馴染めない。師走の風物詩として消極的に受け止める
のみ(ただし談志は別格)。

長い間塩水に浸かっていたので「にちゃにちゃ」な皮
財布。確かに「気持ち悪い」でしょうな。気持ち悪い
きもちわるいキモチワルイって言われても、昨夜飲み
過ぎた自己責任だろう。え、何だろう。すごく「噺家
ぽい」じゃないですか、今宵の談春師。


しかし『鼠穴』。兄弟の相克と愛憎から成る濃密な構
成の最後があのオチ、って…「夢は土蔵(五臓)の疲れだ」。
大して面白くない駄洒落で終わり、とは。


個人的には大ネタは『鼠穴』と、夢オチではない『文七
元結』の方が望ましかった。

『芝浜』の終盤で、恐らく電車の時間があるのだろう、
席を立って帰ってしまった老夫婦がいて、談春師は「そ
りゃあ帰るわな」と仰っていたが、御自分で言うくらい
に不安定な高座であったのは確かだ。


最後は三本締め。春師は来年35周年ということで、たく
さん独演会をされるご様子。ここは是非某ワイドショー
コメンテーターの真打落語家さんとの二人会が実現して
ほしい。ちょっとだけ立川ボーイズ復活、ということで。