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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

玉川太福 サカナ手本忠臣蔵 前半3作リターンズの会

2022年2月25日(金)

 

玉川太福 『サカナ手本忠臣蔵
       前半3作リターンズの会」

 江戸東京博物館小ホール

 

玉川太福・玉川みね子
『サカナ手本忠臣蔵1「刃傷サンゴの廊下」』
玉川太福・玉川 鈴
『サカナ手本忠臣蔵2「赤穂城明け渡し~山科閑居』
~仲入り~
太福・みね子
『サカナ手本忠臣蔵3「オオイカ東下り」』
勉強タイム


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昨年から始まった、玉川太福師による「サカナで
描く『忠臣蔵』」の会。主催はらくご@座、脚本
は@座・松田氏。終演後に客が感想やアイデア
メールで送り、太福師がそれを聞いて即座に反映
させる「勉強タイム」がある大変刺激的な会であ
る。

今回4回目は会場の江戸博が建て直し休館するに
伴い、復習的に練り直した3作を連続して一気に
聴くことができる、得難い会である。

話が積み重なるに従い自然と必然性が生まれ、
もはやサカナ(じゃなくてイカとか貝がメインだ
けど)以外は考えられなくなった。

話がつながっているうえ新たな工夫(燻された後水
風呂で「ととのう」等)も満載で面白さが格段に増
していた。
元が「仮名手本忠臣蔵」だから当然といえば当然
だが、オオイカ内蔵助のイカした動きに顕著なよ
うに、浪曲的要素(節、啖呵)と同じくらい芝居(歌
舞伎)を意識している印象を受けた。
多くの話芸は聴くだけで足りるが、落語の『蒟蒻
問答』と同じで視覚がかなり重要だ。

浪曲と芝居の融合の新しいかたちで、その意味で
も大変面白く刺激的である。

ここぞという駄洒落(芝居の見得や決めにあたるの
だろうか)のとき、「サカナ屋っ」という掛け声を
自ら掛けておられたが、確かに客(後方の客は現状
は無理そうだ)が掛け声をかければ盛り上がるに違
いない。その場合、「オオイカ屋っ」も加えて2音
節短縮で「なやっ」「いかやっ」という掛け声が掛
かれば面白いだろうな、と想像してしまった。

これから討入りまでの展開がどうなるか、とても楽
しみだ。
歌舞伎を敬遠しているとしても、講談や浪曲の義士
伝を聴いているし、往年の年末恒例連続ドラマを視
聴したり映画を観ていれば、だいたいの筋は分かる
し今はネットでいくらでも情報を得られる。
それに御本家の超訳パロディが面白くないわけがない。
この設定で「別れ」の悲しさまで伝わってきたら本当
に凄いと思う。

江戸博が休館するので代わりの会場を探していると
のこと。歌舞伎に暗い野暮客の意見などいらない、
と言われそうだが暫し考えた。
一番の理想はすみだ水族館であろうが、施設案内図を
見た限りではそういうスペースはなさそうだし時世的
にも無理そうだ。
近くのすみだ北斎美術館には講座室があるが、収容人
数がコロナ対策で30人に限定されているし、講座の内
容は葛飾北斎関連に限られている。
吉良邸跡がある両国を外せないとすれば、両国駅に近
い貸し会議室(レンタルスペース)を借りるのが現実的
ではないだろうか。
例えばこことか→

お粗末様でした。伝統芸能若輩者(実質は年輩ですが)に
はこれが限界です。
貧すれば鈍する。