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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

太福萬福其の十二 +突然「春」が来た

2018年3月24日
「太福萬福其の十二」
 @神保町らくごカフェ




玉川太福・玉川みね子
忠臣蔵 「大石東下り」』より「武林の粗忽」』
三遊亭朝橘『茶の湯
~仲入り~
玉川太福・三遊亭朝橘「トーク・質問コーナー」
玉川太福・玉川みね子『紺屋高尾』





らくごカフェが入っているビルの2Fにカレーの有名店
「ボンディ」がある。土曜日のランチタイムだからか
どうか分からないが、階段から道路まで大行列してい
るのに驚き、怯む。
一瞬、「え?らくごカフェの行列?」と錯覚してしまっ
た。


朝橘さんは初めて拝聴、時々出てくるフレーズから察す
るに、太宰ファンなのだろうか(「生れてすみません」等)。
茶の湯』、滑稽味が独特でとても面白かった。



古典ネタおろし、とのことだったので、侠客伝の何かだろ
うか、と漠然と思っていたのだが、『紺屋高尾』とは。
最初「男女の色恋」と来て「傾城の…」と仰った時、え?
まさか…と思ったが、はっきり『紺屋高尾』と分かった瞬
間、思わず「おおっ」と驚きの声が出てしまった。




浪曲の演目として『紺屋高尾』があることは知っていた。
太福さんの口演を初めて拝聴したときの演目が、『銭湯激
戦区』と『中村仲蔵』だったのだが、その『中村仲蔵』も
様々な古典大衆芸能に共通して存在する演目である。
『紺屋高尾』を浪曲で拝聴すると、とても新鮮だった。




女性(しかも花魁)を演じるということを含め、自らの芸の
幅を広げつつ、様々な課題に果敢に挑戦していく太福さん。
とにかく見惚れる程素晴らしかった。





終演後、まだ夕方だったので、古書店をハシゴした。
田村書店の2階は「準備中」で入れず、残念。
書泉グランデに実に初めて入ったが、全体的に色々
と濃厚な感じで、伝統芸能コーナーもなかなか充実し
ていた。6階の鉄道コーナーは特に濃かった(人も含め
て)。




この街を物欲を恣にしてうろつけば、金がいくらあって
も足りない。






◆追記◆(「来年3月25日」)



前日の真夜中まで知らなかったのだが、らくごカフェでは、
翌日「9周年トークイヴェント」が企画されており、
出演者がらくごカフェオーナー青木氏と、何と立川談春
だという。しかもチケット残席僅少…って完売じゃないの
ですか?


驚きつつも、駄目元でメールで予約を申し込んでみる。
落語をやらず、トークのみ、だからだろうか?


翌日朝10時頃、予約を受け付けた、という御返事。
何と2日続けてらくごカフェに。
いやいやだってキャパ50人くらいなのに。
そんな至近距離に談春師が。


「ボンディ」にはまた道路まで続く大行列が。
談春師も「え?これカフェの行列?」と思ったらしい。



トークの内容を詳細に書く、などという不粋なことは
しない(Twitterやブログに書きたいから行くわけでは
ない。それ程暇でもバカでもない。いい加減分かって
欲しい)。御二人のさだまさし氏繋がりの馴れ初めと
らくごカフェ誕生の経緯を知り、末長く存続してほし
い、と思い、青木氏に長生きしてほしいと願った。



普段着の談春師…にしても至近距離で恥ずかしくてま
ともに見られない。自意識過剰かもしれませんが。
前の方の席でふと目が合った時や稀だが今回のように
至近距離で対した時にお見せになる「あの表情」。
肯定的なものなのか、否定的なものなのか。



「ち、あのクソ女また来てやがるのか。鬱陶しい」
といった類のものならば、悲しいが今後席は真中より
後ろの席を選んだほうが良いのか?…
とかいうネガティヴかつ自意識過剰な想念が5秒くら
い脳内を駆け巡る。



ジャケットを着こなす談春師も素敵だけれど、やはり
お着物をお召しの姿の方が「様子が良い」。


偶然ではあろうが、前日太福さんがネタおろしされた
『紺屋高尾』は談春師の十八番である。


私はこの噺があまり好きではない。単純な「オトコのファ
ンタジー」としか思えないのである。談春師の生高座で何
度も拝聴して食傷気味な状態だった。そのため冒頭で談春
師が「二葉亭四迷が…」と言うと、「あーまた『紺屋高尾』
かー」などとがっかりしていたものだった。



しかし、太福さんの浪曲版『紺屋高尾』を拝聴して、新鮮
味を感じたからかどうかは分からないが、無性に談春師の
『紺屋高尾』を拝聴したくなってしまった。


今では逆に高座にかける機会が少なくなってきている。
果たして東京近郊で聴ける機会はあるのだろうか。
って虫が良過ぎるだろう(笑)。