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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

玉川太福の浪曲入門 その9

2017年9月18日
玉川太福浪曲入門 その9」
 @西新宿ミュージックテイト

 

浜乃一舟(曲師:沢村美舟)『男の花道』
トーク(出演者全員)
~仲入り~
玉川太福(曲師:沢村美舟)『流山の決闘』



らくごカフェに続き、西新宿ミュージック
テイト初参、である。
「入門」と銘打っているとはいえ、コアな
浪曲好きの方々のなかに紛れ込んでしまっ
た空け者、みたいな感じで「他所者」感が
半端なかったが(植木等のあの科白が始終頭
のなかをぐるぐるしていた)、超初心者の分
際で、浪曲界の生けるレジェンドの高座に
接することができた。
とても濃密な時間だった。



トークの内容も濃く、私のような新参者が
拝聴するには勿体ないような内容だった。


浪曲界の生けるレジェンドはとても気さく
な方で、終演後、客を見送りつつ握手をし
て下さった。非常に柔らかい手をされてい
た。器が大きいひとであることが、じわり
と伝わってきた。


一方太福さんは、この会では新作しかかけ
ない、とのことで、大好きな落語家さんの
ひとりである白鳥師作『任侠流山動物園』
から『流山の決闘』(浪曲版)を演じてくだ
さった。


内容は鉄板で面白いし、素晴らしい声量に
痺れた。


よくロックのライヴ(私はプログレかUKが
多い)後、耳がじんじんすることがあるが、
そのうれしい感覚が、程度の差はあるが、
太福さんの高座後にも感じられるのだ。
割とひねくれたロック好きに勧める所以
である。


曲師の沢村美舟さんは、スレンダーな日
本人形のような可愛らしい容姿をされて
いるが、実際に演奏するときは、浪曲
を上目使いで見ながら合わせる様子が、
とても魅力的でありました。


新宿は割と好きな街だし、西新宿にマニ
アックなCD(アナログレコード)ショップ
が点在していることは知っていたが、
ミュージックテイトの存在は、落語の生
高座に行くようになった、7年前まで知
らなかった。


会場を囲む棚には、当然のごとく落語そ
の他のCDやDVDがぎっしり詰まって
いる。垂涎。恐らく何時間見ていても飽
きないと思う。


若い世代の二ツ目が台頭してきた落語と
共に、講談や浪曲でも若い世代の演者が
台頭してきた。この伝統芸能ブームが一
過性のもので終わるかどうかは、
私のような割と真剣な新参者(いわゆる
「ニワカ」)を受け入れるかどうかにかかっ
ている、と考える。


それは、演者自身は勿論、それまでのコア
なファンにも言えることだ。仲間意識で固
まって閉じてしまっていては、あらゆる事象、
場所においての理(ことわり)だが、発展は望め
ない。


そして歌舞伎のように、業界や演者が客を選ぶ
ような事態にならないことを祈るばかりである。



※2021年追記
本当に何も知らなかった自分が健気というか
恥ずかしいというか情けない。