2022年4月18日(月)
「第十七回玉川太福・柳亭市弥二人会」
@西新宿ミュージックテイト
柳亭市弥『千早ふる』
『替り目』
~仲入り~
玉川太福・玉川 鈴
『男はつらいよ第二十作「寅次郎頑張れ!」』
この日太福さんは末廣亭、池袋演芸場と寄席の
かけもちで、池袋→末廣亭ならまだ良かったが、
末廣亭→池袋→西新宿、と行きつ戻りつになった
うえ、あいにく(お約束?)本降りの雨。
太福さん、鈴さんを待ちながら長めのマクラと、
軽妙で楽しくも直球の江戸落語を堪能。
市弥さんには独特のキラキラしたフラがある。
元々市弥さんの高座を拝聴する機会があまり
なかったが、太福さんとの当二人会で機会を得
て、スキルフルな高座に驚かされた。
(お前のようなうっすい客に言われたくない、と
叱られそうだが)
仲入り中、お二人が到着。ずぶ濡れで気の毒至極。
〽水もしたたる良い男~、と”太福のテーマ”の一節
が頭をよぎる。
今席の「寅次郎頑張れ!」はワット君幸子にスポッ
トバージョン。
この日のような「太福(・鈴)頑張れ!」な状況に接
すると、名状しがたい想いに駆られる。
端的に言えばいわゆる「推し」への、ファンゆえ
の切なさだ。
クレバーな大人ではないので自分が本当に興味があ
るものでなければ心は動かないし、ファンとして認
められたいがゆえにおもねることもできない。
ただ人間は死ぬまで成長する。演者のみならず、客
も何度も聴いているうちに変化するのは当然だ。
その変化が演者には伝わりにくいかもしれないが、
常に偽りはなく真剣だ。不快かもしれないが理不尽
と思えば理不尽と言ってしまう。よもやただの悪口
など言うはずもない。
イヤならやめろ、と右から左的に単純なことではない。
そのallusionが心臓を抉り、物理的な”不足"が絶望を生
んでいることなど、想像できないだろうけれど。
世迷言を書き連ねてしまったが、この二人会は市弥さ
んの真打昇進・小燕枝襲名に伴い8月が最終回とのこと。
目出度いが寂しい限りだ。