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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

傳志会 第一回

2017年3月31日

「傳志会」第一回
イイノホール



立川談春『大工調べ』
立川雲水『四段目』
~仲入り~
立川志の輔ハナコ
立川生志『紺屋高尾』

 


志の輔談春という、所謂「立川流四天王」のうち、
二人が属している、実に思惑ありげな落語会。
「傳志会」と銘打つからには、師匠談志の「志」を
伝えるものか、立川流新派閥の誕生か。
様々な憶測が飛ぶのも無理はない。



奇蹟的にチケットを購入できたので、伺いました。



イイノホールは、官公庁のビルが林立する中にある、
キャパシティが500人くらいのホールである。
三三師が定期的に独演会をされており、
何度か拝聴しに来たことがある。
このホールで志の輔師の高座を拝聴できるだけ
でも有難い。



しかしそんな期待は隣席の、話の内容からし
落語「ギョーカイ」人っぽい輩(推定年齢40代前
半)ひとりのおかげで台無しになるのであった。




談春師の高座が終わった時からガムを噛み始め、
それが終いまで。もぐもぐ動かす口、「クチャ
クチャ」という音が気になってまったく高座に
集中できない。



落語ギョーカイ人でありながら、最低限のマナー
も弁えていない。お気の毒なことにガム中毒で、
ガム噛んでいないと死ぬ、っていうんだろうか。


雨の湿気、貧血その他で体調絶不調。
ただでさえ他人に不寛容になってしまう精神状態。
何とか堪える。何せ高座中だし。



談春師はマクラで「不思議な客層。自分のでも志の輔
兄さんのでもない」(そもそも談春師が認識している「
自分の客」というのが具体的にどういう客なのかは定か
でない)と言っていたが、上述したような「落語ギョー
カイ人」がちらほら混じっていたせいでそう見えたので
は?


さらに談春師は「そんなに期待されても困る。『傳志
会』って言ったって何も伝えようなどとは思っていな
い。ただ何となく、そろそろ兄弟会でもやろうか、と
なっただけ」と言うが、客としては、どうしてもそこ
に何らかの「意図」を読みとらざるを得ない。
やっぱり四天王の他の二人とは、袂を分かつつもりな
んだろうか、とか何とか…


そこへ持ってきて生志師が『紺屋高尾』を始められた
ので、倒れそうになってしまった。私はこのオトコの
ファンタジー噺が嫌いで、至極つまらないと常々思っ
ている。
一体どの部分が「泣き所」なのか。「久さん元気?」か。
嗚呼、高嶺の花の高尾が、俺なんかに…!って逆シンデレ
ラ?ディズニーのアニメ映画を観ているのと本質は同じ。
隣席の「クチャクチャ」音への不快感と共に、徐々に意識
が遠のいていく(それはお前の体調の問題だ)。



怒髪天、てな状態になったため、ホールに傘を忘れて
出てしまった。大急ぎで戻って物販のおじ(兄)さんに聞く→
おばさまにバトンタッチ(古語)→受付にあることが判明。
おばさまに「あってよござんした」と言われてツボって何
となく救われた気持ちになった。


「傳志会」は3ヶ月ごとに開催されるようだ。
今年はあと6月30日、9月29日、12月22日の3回。
すべて金曜日(プレミアムフライデーってやつか)。
東京の田舎のしがない勤め人には辛い。


幸運にもチケットが買えれば行くしかない。
それだけ魅力がある落語会であることは確かだ。
ただし、次回に行くことが出来るのであれば、
落ち着いて聴ける環境であることを願う。