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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

立川談春独演会2016@小金井

2016年10月20日
立川談春独演会 2016」
 @小金井宮地楽器ホール



立川こはる『馬のす』
立川談春三方一両損
~仲入り~
    『井戸の茶碗

 



久し振りに通勤時間帯の中央線・南武線に乗ったら激混み。
立錐の余地なし、の状態にも関わらず、必死になってスマホ
を弄るお姉ちゃん、おっさん。心か脳のビョーキですよ本当。



そして最近の談春師の独演会には珍しく、開口一番あり、
でこはるさん。自身が小金井市にある農工大出身だから、
ということで、師匠の粋な計らい、ってやつでしょうか。
確か、去年もそうだったと記憶しています。



因みに柳家小満ん師は、農工大を中退されておられます。
意外。



『馬のす』という演目、初めて拝聴しましたが、
大した出来事が起こるわけでもなく、日常スケッチ
のようでオチも消化不良な感じだ。良く言えば、
粗忽長屋』に匹敵する哲学的余韻を残すオチ。

 


談春師の今年の全国独演会ツアー、演目のチョイスが
いまいちよく分かりません。
初めて独演会をやる場所では『ぞろぞろ』と『らくだ』の
セットのようだ、という以外、特に東京ではバラバラです。
そしてこの日、『三方一両損』と『井戸の茶碗』。
およそ立川流じゃない、むしろ柳家だ。



井戸の茶碗』のマクラで「志ん朝の十八番やります」
「談志はやらなかった」って仰いましたがそりゃあそうだ、
井戸の茶碗』なんざ清廉潔白な頑固者しか出て来ない。
構造的に単純だしオチも有体だ。
「ほのぼのしていて良かった」とか言っているひとがいたが、
そんなのは立川流とは相容れない。談志の弟子、という
存在理由(レゾンデエトル)が瓦解してしまう。




などというのは下衆の勘繰りか。
とは言え、談志は陰陽両方併せ持っていた。
やはり稀有な存在だった、と思わせられる。



そして談春師の独演会通いはまだまだ続く。
こちとらこういう「とりさらわれる瞬間」のために
働いているんだべらぼうめ。