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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

渋谷に福来たる 2016 落語フェスティバル的な~古典ムーヴ・春一番

2016年4月3日 
渋谷に福来たるSPECIAL 2016~落語フェスティバル的
 な~
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 古典ムーヴ・春一番/白酒三三二人会

 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール



桃月庵白酒『風呂敷』
柳家三三『不孝者』
~仲入り~
柳家三三『元犬』
桃月庵白酒井戸の茶碗



毎度のことながら渋谷に向く足は重い。
渋谷、原宿。心底苦手である。
街と言うより、歩いている人種が苦手。



加えてこのいかにもなノリの落語「フェスティバル」。
あまり好みではないが、白酒師と三三師の二人会、
は魅力的なので、久し振りに行ってみた。



三三師は、「芸術選奨文部科学大臣賞新人賞」を
受賞したとのこと。大変御目出たいのだが、白酒師が
客に無理矢理「三三さん、文部科学大臣賞おめでとう」
と言わせたのには辟易した。最近色々と胸糞悪いことが
頻出しているので、憮然とした態度で無言で通してしまった。
(いけませんね)


三三師はマクラで東京都のある地区とユニクロしまむら
を結びつけて揶揄していたが、あまりいただけない。
面白がってわざと着ている「セレブ」もいるが、多くの一般人
は単に安価でそれなりの質を保持しているから着ている。
その日私はユニクロで購入したスプリング・コートを着ていた。
恐らく他にも大勢ユニクロの服を着ていた客がいたはず。
皮肉は芸人の芸の一つとは言え、はっきり言って面白くは無い。
(ちなみに私は一般人なので、さすがにしまむらの洋服は買えない)



白酒師『風呂敷』、三三師『不孝者』は初めて拝聴した。
特に後者は、噺そのものを初めて聴いた。しかし日曜日の夜、
という、カフェ(喫茶店)であればガラガラな時間だったせいか、
睡魔の勧誘がしつこかったので、あまりじっくり聴けなかった。



三三師『元犬』。『元犬』は変身譚で、噺そのものが分かり易い
面白さを有しているし、小回りが利く落語家さんに向いている。
小学生の時、初めて落語に接したのがこの『元犬』『寿限無
『田能久』だった。子供向けのカセットテープだったが、落語家
さんの名前は残念ながら覚えていない。



白酒師『井戸の茶碗』。白酒師の生高座を初めて拝聴したのがこの
井戸の茶碗』だったのだが、白酒師が何故この善人しか出て来な
い噺を好んでおやりになるのか、いまいち分からない。白酒師の性
からして、このまだるっこしい登場人物を皮肉ったり揶揄したり
するなら分かるのだが、割と正攻法である。不思議で仕方がない。



後日、普段は時間的にあまり見ることが出来ない骨董鑑定番組
開運!なんでも鑑定団」で、リアル「井戸の茶碗」が出品さ
れているのを偶然見た。
新聞紙に包まれて、押し入れに眠っていたそうである。
俄かには信じ難いが、箱及び箱書きがないので2千万円の値が
ついた。あれば5千万円は下らない、とのこと。
羨ましい限りである。因みに『井戸の茶碗』に出てくる井戸茶
碗は、殿様が三百両で買い上げている。一両=現在の13万円程
度とすると、3千9百万円、ということになる。
こちらも箱があればもっと高く買ってもらえたのだろうか。