2016年7月17日
「特選花形落語会 柳家喬太郎・柳家三三」
@杉並公会堂大ホール
春風亭百んが『浮世床』
柳家三三『締め込み』
柳家喬太郎『擬宝珠』
~仲入り~
柳家喬太郎『純情日記 渋谷編』
柳家三三『夢金』
銀座の圓朝祭落語会ではなく、翌日が祭日ということで、
こちらにうかがいました。
先月は一度も生落語を聴きに行けなかったので、禁断症
状が出始めていたところでした(具体的な症状は、とか
無粋なことは言わない)。
JR・丸ノ内線荻窪駅から程遠い杉並公会堂には初めてう
かがいました。
またもやどうせホール落語ですが、私は嗜好がスキゾよ
りパラノ傾向にあるので、つい、寄席よりも、好きな落
語家さんの高座を何席も拝聴できる独演会や親子会、二
人会に足が向いてしまうんです。
百んがさんは百栄師のお弟子さん。初めて拝聴しました。
悪い意味で「普通」。百栄師の弟子、という大変「おいし
い」スタンスを活用していない感じ。
三三師、「マクラが長いのはいけませんね」などと、師匠
小三治師を皮肉りつつ、「その日どんな噺を申し上げるか
は、お客さんの傾向を見て決めます…じゃ、泥棒の噺をひ
とつ」とマクラも早々に『締め込み』へ。
喬太郎師は、先週もこの杉並公会堂の小ホールの方で行わ
れた、「ウルトラマン落語会」に出演されたとのこと。
「マクラは長くなくちゃ」と、周知のウルトラマンマニア
ぶりを披露し、熱く語られました。
少しお痩せになったみたいでしたが、マニアというか、
「癖」の噺である『擬宝珠』を、変なテンションのまま演
じられ、滅法面白かったです。
次の『純情日記 渋谷編』。喬太郎師テイスト満載の新作
落語ですが、度肝を抜かれました。客席が「ひく」程のテ
ンションの高さで、立ち上がって本気で噎せながら、「も
う芸人じゃない、ただの見世物だ!」と叫ぶ喬太郎師。
横隔膜が痛くなる程爆笑しました。
因みに、昼には「特選花形落語会」昼の部が行われ、上方
落語の噺家さんや、白鳥師が出演されていたようですが、
喬太郎師がしきりにマクラで白鳥師をいじり、「本当白鳥
がすみません」などとまるで後見人のようなことを仰って
いましたが、白鳥師、いったい何をやらかしたのだろうか、
と大変気になりました。
そしてトリの三三師『夢金』。この季節に拝聴するとは考
えておりませんでした。どうしてこれを選ばれたのでしょ
うか?
個人的には、生落語にはやはり季節感が重要であるな、と
再認識したような次第です。小憎らしい程の安定感でさらっ
と演じ切る三三師。
そして「何か問題でも?」と飄々と高座を下りて去る。
もしかしたら夏に冬の寒さを想像させることで、涼ませる
趣向なのでしょうか。
喬太郎師の暴走により30分程押して終演。緞帳がないので
尻切れトンボな感じは否めず。やっぱり古典芸能には「幕」
が必要です。