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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

今年最後の立川志らく独演会2014

2014年12月23日
「リビング落語会 今年最後の立川志らく独演会」

@よみうりホール




立川志らく

『浜野矩随』
~仲入り~
『芝浜』



立川談志が逝去した2011年の年末に始まった、
立川志らく師年末恒例独演会も今回で四回目。
『浜野矩随』のみ決定し、後一席は事前にリクエストを
募り、1位になった演目をかける、とのことであった。



ぶっちぎりで1位は『芝浜』。



2位が『中村仲蔵』で3位が『富久』。
極私的には、退屈な結果である。
毎年必ず『芝浜』をかける、ということになれば、
単なる風物詩と化してしまう。


志らく師ご自身が仰っていたように、
「クレイジー落語五席」をこそ聴きたい。


『芝浜』という落語自体、元々あまり好きではない。
理由は、「話(噺)」としての骨格からオチまで、すべ
てが凡庸だからだ。
だが、個人的事情により、立川談志の『芝浜』のみ、
特別なものとなり、涙なしには聴けなくなってしまった。


志らく師の「おっかあ」は、幼くて、何やら志らく
自身の個人的趣向が臆面もなく表れているようで、見
ていて気恥ずかしくなってくる。その「ぶりっこ」ぶ
りが鼻につき、「デコピン」かましたくなってしまう。


『浜野矩随』は、主人公を与太郎にする、という趣向
だったが、その意義はあまり感じられなかった。
最後に言う「頑張れこぶ平」も、段々現実とそぐわなく
なってきているように思える(つまり、正蔵師匠は十分
頑張っているのでは云々、ということ)。


ひとつ気になるのは、来年から国立演芸場で始まる、
立川志らく落語大全集」。16年かけて志らく師の
持ちネタとネタおろし含め203席をテーマごとに分
けて全部演じ切る、という壮大な企画。もらったチ
ラシ(昨今ではフライヤーっつうんですよね)の裏に、
全演目が記されている。
平日の夜に行なわれるので、行ける可能性は極めて
少ない。
残念でたまらない。


それによると、最終回(2030年秋)の演目は、『長短』
『金玉医者』『芝浜』となっている。その『芝浜』
なら全力で聴きたい、と思える(自分が生きていれば
の話だが)。


来年の「今年最後の独演会」の演目をエア・リクエスト。
「落語大全集」2025年冬にやる予定の、『平林』『強情
灸』『鈴ふり』『親子酒』、にプラス『唖の釣り』か
『金玉医者』か『猫久』。
これが叶えられるなら、一年この独演会のために頑張ろう、と
いう意欲が湧いてきさえする(来年十二月二十三日...と毎日呟く
わけですよええ)。


談春師に次ぎ志らく師も来年三十周年を迎えるとのこと。
立川談志邸に住まわれることも決まり(その模様が来年
TV番組で放映される。1月11日「大改造!!劇的ビフォー
アフター」テレビ朝日)、色々あるようだが、立川談志は誰
にも「着る」ことなど出来ない。形骸化することもない。


…などと書くとまた各方面からどやされそうだ(自意識過剰)。