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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

Fantôme de roi

東日本大震災から3カ月が経過した。最大余震が起こる
可能性が指摘されている時期で、予断を許さない状況下にある。
また、福島原子力発電所は、依然として放射能汚染水を垂れ流
し続けている。そして、メルトダウン(炉心溶融)ではなくて、
メルトスルー(下に落ちた)状態だった、と東電が今頃発表した
わけです。そして先日原発有無の国民投票をしたイタリアでは、
95%以上が原発いらない、という結果になったらしい。


日本で制御できないのだから、ましてイタリア人に出来るわ
けがない」と言うイタリア人。そこまで自己を客観視出来るっ
て、知性が成熟しているということですよね(フランスから電
気を買っている、という事実は今は措くとして)この国の政治
家とか官僚に、少しでもそういう人間が存在するのだろうか。



ところで6月9日、政府の地震調査委員会は、「東日本大震災
に伴う地殻変動によって、国内の主要活断層である立川断層(東
京都、埼玉県)、双葉断層(宮城、福島県)、糸魚川―静岡構造線
活断層系の中部付近(長野県、山梨県)での地震発生率が高まった
可能性がある」と公表した(2011.6月10日 読売新聞YOMIURI
ONLINE)。もう日本で安全な場所などどこにもない。



明日をも知れぬ命。



そんな中、懲りもせず足を運んだ立川談春独演会
アナザーワールド10」成城ホール



「開口一番」は、立川こはるさん粗忽の釘
談春師匠登場。おや…前回(「アナザーワールド」、4月)以来
の御尊顔ですけれど(5月の「9」のチケットは諸事情により買え
なかった)、随分とお痩せに…頬がこけて、お腹も引っこんで、
すっきり。と言うよりやつれた感じ。この2カ月の間に何があっ
たのでしょうか?


心労か精進かはたまた…マクラもいまいち…「幽霊の絵の話から、何
となく予想はついた感じの『竈(へっつい)幽霊』。これまた元は上方
落語。「最近三代目桂三木助の霊が降りて来て」云々というのはこの
布告でしたか(三代目三木助が得意としていた噺)。



続いて『人情八百屋』。これは唐茄子屋政談立川談志家元が
改作した噺のようだ(因みに昨日草月ホール志らく師匠の唐茄子
屋政談を聴いた)。



タイトルは、幽霊(fantôme)とひっかけて、「実権のない王」の意。