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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

一朝、一之輔親子会

2012年6月15日
第三十四回新文芸坐落語会

「一之輔 真打昇進披露
     一朝、一之輔 親子会」

新文芸坐




春風亭朝呂久『幇間腹
春風亭朝也『やかんなめ』
春風亭一朝『妾馬(八五郎出世)』
~仲入り~
口上に代えて鼎談:一朝、一之輔、吉川潮
春風亭一之輔『子は鎹』(『子別れ』中~下)




新文芸坐はパチンコ屋(マルハン)の傘下に入ってしまったようだ。
ディープな場所にある。ソープランド、ヌード劇場…



一朝師の高座を初めて聴いたが、噂にたがわずとても良い。
この師弟の醸しだす安寧というか、静かだけれど強かで柔軟
な雰囲気が心地良い。


客席も至極和やかで、こんな空気の落語会は初めてだ。
蒸し暑いのに、よい意味でからっと乾いた感じ。



鼎談はとても興味深く面白かった。
吉川潮氏によれば、二つ目で既に大者の雰囲気を持って
いたのは、小遊三師、市馬師、談春師、そして一之輔さん
が四人目とのこと。



一朝師の真打昇進試験の時の話。
五代目小さん志ん朝馬生小三治談志等、錚々たる
面々の前で落語。
誰一人として笑わなかったそうな。
(自分の卒論の口頭試問の時を思い出して同情してしまった)



病気で倒れて、一朝師の真打披露興行に出られなかった師匠の
柳朝が、病室を訪れると泣いていた、というエピソードは泣ける。
それで一朝師は、自分の弟子にはちゃんとしてやらなきゃいかん、
と思ったらしい。涙。



吉川氏によれば、この真打披露興行で一朝師の高座を初めて
聴いて、ファンになった、という若い女性がいっぱいいるらしい。
可愛い、とか言って。
若くもないし可愛い、などと不遜なことは思わないが、とてもよ
く分かる。