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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

温故知新(浪曲+落語+講談)

2022年4月23日(土)

 

「温故知新」(浪曲+落語+講談)

 須賀神社社務所

 

三遊亭好二郎『宗論』『二階ぞめき』

春風亭昇吉『牡丹燈籠』

昇吉&太福「トーク

玉川太福(伊丹 明)
清水次郎長伝「久六とおしゃべり熊」』

~仲入り~

柳家喬志郎『女百物語』より二席

 

 

小規模な会は主催者の個性が色濃く出る場合がある。
こちらの会はサロン的な雰囲気、ほぼ固定客で、
苦手な部類に入る。
あくまでも私個人の好みの問題で、そういう会の方
が好ましいと言う人もいるに違いない。
それが伝わるのか、主催者の態度は冷えていた。

 

しかし現時点で太福さんの次郎長伝連続読みを聴け
るのはこの会しかない。
今席ではいわゆるダレ場というか挿話じみている、
「久六とおしゃべり熊」が聴けると踏んで伺った。
昇吉師との妙な磁場が発生するトークを生で聴きたい
という心づもりもあった。

 

初めて伺った須賀神社社務所自体は畳敷きの居心地が
良い会場で安らかな雰囲気だ。
それがかえって異端者を際立たせるのだろうか。

落語は喬志郎師の「女百物語」が面白いと思った。
女性が主人公の擬古典新作シリーズ落語だが、男性
でありながら女性を主人公にした意図がやや不思議だ。
ハードルが一段高くなるのではないだろうか。
トークは期待したほど妙な磁場をダイレクトに感じられ
なかった。

 

そして「久六とおしゃべり熊」。虎造版の「久六の悪
だくみ」まで含まれるのだろうか。
普段滅多にかからない段、実に初めて聴けた!
「派」の縛りがあるとは言え、今このクオリティで次
郎長伝を演じられる浪曲師が他におられるだろうか。

 

これを聴けただけで有難い。もう何も言うまい。