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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

浪曲定席木馬亭令和4年2月

2022年2月6日(日)


浪曲定席木馬亭令和4年2月」
 @浅草木馬亭



東家千春・馬越ノリ子『唐人お吉』

港家小ゆき・沢村道
『塩原多助一代記「命の振袖」』

澤 雪絵・佐藤貴美江
太閤記「藤吉郎の花嫁」』

花渡家ちとせ・沢村豊子
寛永馬術愛宕山の春駒」』

~仲入り~

東家孝太郎・沢村豊子
『大岡政談「徳川天一坊 閉門破り」』

田辺凌鶴『蘇生奇談』

港家小柳丸・佐藤貴美江
神田祭り「吉五郎恩返し」』

木村勝千代・沢村豊子
天保六花撰「河内山宗俊」』

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コロナウイルスの影響で延期になっていた、
日本浪曲協会設立80周年記念公演。
初回は「初代会長木村友衛、七代会長木村若衛
讃えて」。唯一の木村派木村勝千代さんが主任
である。

浪曲定席の場合は落語の寄席定席と違い、最後に
トリにバトンを渡すリレー的要素は希薄で、
一国一城の主の宴の数々が都度繰り広げられる。
一席が終わると幕が閉まり、次の演者の演台やテー
ブル掛けを準備するやや騒がしい音は、さながら急
いで城を壊し、建て直すがごとくである。

千春さん、小ゆきさん、雪絵さんの流れが華やか鮮
やかで良かった。
今席はとにかく3人の浪曲師の曲師をつとめられた
沢村豊子師匠が凄かった。いつも同じ形容をしてい
るような気がするが、神がかっていた。

孝太郎さんの「天一坊」はおそらく来月から連続読
みの会をされる布告だろうか。まるで豊子師匠と”仲
良く”鍔迫り合いをしているかのようで、声節と三味
線の激しくも愉しい手合わせに聴き惚れた。

講談は最近注目している田辺凌鶴先生。
『蘇生奇談』は何年か前に宝井梅湯さんの高座で拝
聴したが、明治時代が舞台の西洋寓話のような変わっ
た話。

主任(トリ)の木村勝千代さんは木村一門のお家芸
河内山宗俊」。
勝千代さんの声節と豊子師匠の三味線の音が3次
元の高さ、広さ、深さで聴こえて意識が溺れた。
素晴らしかった。

浪曲師の場合、家一門派のつながりはあるが、声
節は唯一無二だ。今まで多数の家系が途絶えてき
たのだろうが、木村派の後継として遺伝子のよう
なものだけでも残ってほしい、と秘かに願うもの
である。