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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

座・高円寺寄席「疾風怒濤 浪曲、講談新時代」

2019年2月17日
「第9回高円寺演芸まつり
 座・高円寺寄席
『疾風怒濤
    浪曲、講談新時代』」

 @座・高円寺





玉川太福・神田松之丞「フリートーク
玉川太福・玉川みね子
『地べたの二人 「骨つきチキン」』

神田松之丞『赤穂義士銘々伝
        「神崎の詫び証文」』

~仲入り~
松之丞『鼓ヶ滝』
太福・みね子『梅ヶ谷江戸日記』



昨年は某風雲児な方がダブルブッキング
をしたため、兄(あに)さん
な方&師匠が
時間をつなぐ事態になったが、今年は
そんな失態もな
く始まった。それもフ
リートークから。



意外なことに、何度も二人会をしている
にも関わらず、フリートーク
は初めてで
あるとのこと。



お二人が同じ舞台に立ち、コンビ芸人さ
んのように話している様子を見て、感慨
深く思いつつ、以前同じような気持ちに
なった時のことが甦って来た。それは往
年の「立川ボーイズ」が、同じ舞台に立っ
て応酬しあった、立川談志追悼公演「落
立川流in平成中村座」(2012年2月)。



(主催者の18代目勘三郎丈は御存命で、そ
の年末に急逝したのだった)
私は談春師と志らく師が90年代に「立川
ボーイズ」としてユニットを組み、アイ
ドル並にお姉ちゃん達にキャーキャー言
われていた時のことは知らない。「史実」
として知っているのみ。

それでもお二人が同じ舞台で、 かけあい
漫才(内容的にも抜群に面白かった)をして
いる様子を見て、少し涙腺が緩むほど感慨
深かった時のことを想起したのだ。

先日の談春師の言葉(「志らくがいなければ
談春は存在しない。談春がいなければ志らく
は存在しない」)がそれを補完する。

この二人ほど濃密ではないが、 芸の種別は異
なれど次世代のこの二人にも、それに近い関
係性を感じ取ったのだ。そしてこちらも存在
を知ったのは一昨年であるから、前座さんの
頃のことは知る由もない。
もっと早く知りたかったのは確かで、講談・
浪曲にはまったく目が向いていなかったこと
が今更ながら悔やまれる。



他の演者さんも往々にしてマクラでそう言う
ことがあるが、どうして客が「地元の人」で
構成されていると思うのだろう。特に東京で
はもう無関係で、この二人会であれば、ほぼ
常連客で構成されていると言っても過言では
ないだろう。それなのに(以下略



「神崎の詫び証文」を初めて拝聴できてうれ
しかったが、自分の体調絶不調のせいだと思
われるが、張り扇を叩く音が痛いくらいに胸
に響いた。そしてコンパクトな『鼓ヶ滝』…
殺生じゃござんせんか?

一方、太福さん&みね子師匠の二席とも何度
も拝聴しているが、
新作の場合特に毎回細部
を変えられるので聴き逃せず、今席は良い意
味でとても穏やか、と言うか余裕が感じられ
た。そしてその「雰囲気」がとても心地良かっ
た。節と糸の幸福。



この二人会、期待しつつも化学反応が起きる
ことがないのが残念。
次回もし伺えることができるとしたら、御互
いに芸を競うガチンコ対決を是非拝聴したい。
それぞれ侠客ものと悪人ものを一席ずつとか…



想像しただけで垂涎ものである。