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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

立川談春独演会 2019@小金井

2019年2月13日
立川談春独演会 2019」
  @小金井宮地楽器ホール大ホール





立川談春
禁酒番屋
~仲入り~
『人情八百屋』




禁酒番屋』。
マクラ(勿論詳細など書かない。行った
人だけの特権)は、まず会場のホールの
音響の良さ。何せ宮地「楽器」ホール
だし。前身は小金井市民交流センター
(今もその機能はあるが)。下町ロケット
の話はデフォルト。


「6時半開演なら小金井市民の皆さんと
楽しい時間を過ご
せたのに、
7時なら間
に合う、とか言って落語好きの客が来ちゃ
って、まあいいんですけどね」という言葉
が引っかかった。

禁酒番屋』をやるのは久し振りとのこと。
記録を見たら拝聴するのは談志が亡くなる
一週間前の2011年11月14日@所沢以来だ。

女性が漏斗を用いて小水を詰める場面を、
あ、これはやめておこう、と言って端折っ
ていた。この辺からおや?もしかして今日
はネガティブ思考全開だろうか、と思い始
めた。

『人情八百屋』。
マクラ(詳細略)がまた、深く濃くじっくり、
な内容だった。終演後間もないときには、
ああ、馴染み客に語りかけて頂いた感じ
でうれしかったな、と思っていたがとん
でもない。

ネガティブ思考から来る愚痴であり腐し。
師匠と弟子の関係性、先に真打になった
兄弟弟子との確執、 仕事とは何か、自ら
の矜持の表明。
「おたくら残業より落語選ぶ人達でしょ?
我々は逆だ」。

仕事より遊びを優先させることはない、と
言いたいのだろうが、一方的に責められて
いるような気がした。別にサボって来てい
るわけではないのに。定時まで全力疾走し
て駆け付けているのに、 それだけ談春師の
落語を拝聴したいわけで…そう思っている
のは私だけではないはず。

しかしそういう本音の吐露、というのもあ
る種リップサービスと考えれば良いのだろ
うか。自分には仕事、会社組織というもの
が分からない、映画で妻役だった原田知世
がアイドルだったことも知らない、 その頃
自分は前座だったから。

ギャンブルにどっぷり浸かり、金に苦労し
た。シビアな金の話、強欲…おっ、もしか
して『黄金餅』かけて頂けるのだろうか、
大いなる期待、しかし茄子を生で齧って食
べる…って『人情八百屋』?絶対途中まで
黄金餅』やるつもりだったか、古馴染み
いけ好かない客に気を持たせたかのどち
らかだろう。

意地悪。『人情八百屋』を拝聴するのは、
2011年6月19日@成城ホール「アナザー
ワールド10」以来である。

私はまだ秘かに闘わなければならないの
だろうか。終演後、「今年から、終わっ
たら必ず手締めをすることに決めました。
魔を祓えない、と分かったんでね」。
魔を祓う?談春師は時々解釈不能なこと
を言う。

伏し目がちに滔々と語る春師を、新しい
客は怪訝に思ったかもしれない。その突
き放すように冷たい語り口。もういい加
減疲れてきた気がするけれど、闘えるう
ちは闘いたい。「あんた頼むからもう来
ないでくれ」って目を見て指差し確認さ
れるまでは。

(録音などという狼藉は、神仏に誓ってし
ておりませんよ~)