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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

祐天吉松連続読み第1回

2019年1月20日
第23回赤坂で浪曲 玉川太福『祐天吉松』
         連続読み
(全4回)第1回

@赤坂カルチャースペース嶋




玉川太福・玉川みね子

男はつらいよ 恋する寅さん』
『祐天吉松 第1話「両国八景」』
~仲入り~
『祐天吉松 第2話「本郷小町」』





連続読みの前の一席は新作と決まっていて、
昨年は「地べたの二人」シリーズだったが、
今年は寅さんシリーズの一席から。今年は
この「男はつらいよ」シリーズに力を入れ
られる、ということだろうか。

この寄席向きのショートバージョンは、
席亭様が仰るように、コンパクトにまと
まっていて聴き易かった。


『祐天吉松』は幕末を舞台とする、もとは
講談の長講・侠客もの。時代的に『天保
滸伝』と重なる部分がある。
天保水滸伝』の有名な外題付け「利根の
川風袂に入れて~」と同様、『祐天吉松』
にも外題付けがある。



流れ雲 風の間に間に 何所へ行く
人の運命と 行末は 心ひとつの あり方で
地獄 極楽  右 左
日陰に 咲いた 悪の華
盗みはすれど 心では
いつもさみしく 泣いている



唸りと啖呵、いつものごとく膝の上に載せて
いる鞄に、びりびり、と振動が伝わる程。
みね子師匠の三味線の音色と共に、拝聴して
いると意識が浮遊し始め、大変心地良い状態
になるわけです。


出てくるその時代特有の言葉、巾着切り、経
師屋(は今でも使う)、手焙り、次回以降に出
てくる飛鳥山のかわらけ(土器・瓦)投げ…が
愉しくてたまらない。
ちょうど時間となりましたぁ、まず、これま
で…となるのが心底辛く、次回の予約をせず
にはいられない。







祐天吉松』の後の『清水次郎長(外)伝』では、某二ツ目
講談師ばりの(とは席亭様のお言葉)血腥い場面があるとか。
何となく「良い人」の役を課せられているきらいのある(い
や本当にお人柄は良いわけだが)太福さん、どう聴かせて頂
けるのか…楽しみ過ぎます。








そもそも広沢虎造版の「祐天吉松」は、LP盤全10枚で完結
の予定だったものを、虎造が病に倒れたため、7枚の未完で
終わっている。つまり、未完成な部分は太福さんが自ら創作
しないといけない、ということ。それも含めて非常に楽しみ。
鶴首して待ちます…








旭堂南海先生が講談「祐天吉松」をyoutubeにアップされて
いるし、
代目神田伯山による「祐天吉松」講談速記本が、
保護期間満了により国立国会図書館デジタルコレクションで
ネット公開されている。後で拝読する。








今回特筆すべきは、席亭様が柝頭(きがしら)打ちデビューを
されたこと。今まで太福さんが自ら打っていらしたので、
精進して頂きたい、と思います…