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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

玉川太福の天保水滸伝連続読み第2回@赤坂

2018年9月9日
第19回赤坂で浪曲 玉川太福天保水滸伝
            連続読み 第2回」

@赤坂カルチャースペース嶋





玉川太福・玉川みね子
『地べたの二人 「配線ほどき」』
天保水滸伝 第三話「鹿島の棒祭り」』
~仲入り~
天保水滸伝 第四話「笹川の花会」』




天保水滸伝ツアー」現実化の兆し。
太福さんにご案内頂けるなら、団体行動は苦手だ
けれども、参加するのにやぶさかではないですが…
現実問題として、色々な雑用は誰が請け負うのか、
など、懸念されることが少なからずある。

太福さんが得意とする、天保水滸伝を連続で聴け
るこの会。
今回は最も好きな「鹿島の棒祭り」「笹川の花会」
である。いつもより早く会場に着く。

とにかく9月に入ったとはいえ、耐え難い程蒸し暑い。

「地べたの二人」は、この会では正直マンネリ(古語)
化してきてしまっているように思えるが...

「鹿島の棒祭り」。いつもながらに素晴らしい。
浪曲の主流は関西節だけれども、自分としては、
関東節の情緒的な部分を大事にして継承していき
たい」と仰る太福さんの力強いお言葉。心の中で
大きく首肯した。

そして仲入り後の「笹川の花会」。言葉にできな
い程出色の出来。御自分でも「暑いなか、耐えて
もらったご褒美」と冗談めかして仰っていたが。

汗が滴り落ち、吹き飛ばす程の熱演。みね子師匠
の三味線もとてもアグレッシブで、胸に痛い程で
あった。

この人となりも含めて稀有な才能を持する浪曲
さんに、一体どうしたら報いて差し上げることが
出来るだろう?と、客に考えさせる(そう考える客
は私だけではないはずだ)くらいに、不思議な抗し
難い魅力をお持ちの方である。

何かと太福さんと比較されがちな、「今最もチケッ
トが取れない講談師」の方も、自身がお好きだとの
ことで、天保水滸伝をよく読まれるが、はっきり言っ
て太福さんの方に分がある。

二ツ目講談師さんには比類なき天賦の才能がある
とは言え、まだお若いから貫禄がなく、啖呵が空々
しい、とまで言ってしまうのは酷かもしれないが、
その足りない部分を「笑い」で埋めようとし、埋め
きれないがために、ずっと欠乏感が残り、不安になっ
てしまう。

(まだ某講談師さんの十八番である「中村仲蔵」を拝
聴していないニワカの分際で、生意気なことを言っ
てまことに申し訳ございません…)

そして中毒者は足繁く会に通うのであった。出来得る限り。