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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

立川談春独演会2018@浅草公会堂

2018年5月11日
立川談春独演会2018」
 @浅草公会堂





立川談春
『牡丹燈籠 お札はがし』
~仲入り~
『らくだ』




最近よく浅草に来ているような気がする。
昨年までは考えられなかったことだ。




この浅草公会堂三日間同一演目、
という形式は昨年も行われていて、
『三軒長屋』がネタ出しされていた。
今年は何もなし。初日にならないと
分からない。




地方のどこの独演会か忘れたが、
「ちょっと圓朝のをやってみたくて」
と言いつつ『牡丹燈籠』をやったのを
知り、いやな予感がした。




まさか『牡丹燈籠』やるつもりなのでは?




え、別にいいじゃない、最近聴いてないし。
と言われるかもしれないが、今それをやる
のであれば、何らかの意図・意味を付加
せざるを得ない(そんなことを考えるのは
私だけかもしれないが)。




思っていたよりも早く、「最もチケットが取れ
ない講談師」になってしまった、未だ二ッ目
の講談師神田松之丞。





伝統大衆芸能界の真打達に、宣戦布告した
かのように、メディアに露出し、才気煥発に
振る舞う若き講談師に、適う筈はないのだ。





その若き講談師は、恐らく「善悪の彼岸」に
立ったことがある。人間の実存の危険領域、
絶壁から深淵を覗いたことがあるのだ。





そんな人間がする異世界の表現に、
適う筈がない。





簡単に言えば、個人的に談春師の『牡丹燈籠』
にあまり期待は持てなかった。何か違和感を
覚えていた。





三日間のうちの最終日のチケットを買ったので、
始まるまで何をやるのか不明。
知りたくなかったので、ネットで検索をすることは
しなかった。





8年目にして初めて手拭を買う。
今更だが、ファンとしてのエチケットだと思ったのだ。





隣席のおっさん。前を通るとき無言の上、足を踏む。
一切無言。飲食禁止のホールで饅頭だか何だかを
貪り食う。始まれば大股開き。
スーツなど着ていたが、とても成人男性の振舞いと
は思えない。





もう一方の席は空席。ドタキャン?私が隣だから帰った
のだろうか?(自意識過剰)だとしても知ったことではな
いが。




開演。マクラほどほど、そして始まる『牡丹燈籠
お札はがし』。
脳内に音もなく砂嵐。ああ、やはり...駄目だ...



あからさまに落胆し、眼を伏せた。心ここにあらず。
帰ろうか?しかし二席目が何か分からないし。




二席目。聴いたことがありますねそのマクラ。
え?『らくだ』じゃないですか。



何て事。新しいくすぐりが入ったりして、
もう鉄板中の鉄板をやるなんて、ずるいじゃありま
せんか。




『牡丹燈籠』をやった時点で、もう駄目なのか...
と思ったのだが、まだ見限れない。
素晴らしい『らくだ』だった。
談志の直弟子の面目躍如。




最近目に余るのが、終演後に貼り出される演目を、
我先にスマホや携帯で撮ろうと血眼になっている客。
特におばはん。人にぶつかろうが何だろうがお構い
なし。
如何なる使命感からそんなことをするのだろうか。
理解できない。



本当はあんな若造講談師に負けてほしくはない。



もう少しファンでいてみよう、と思いつつ、直帰。