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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

第20回西荻寄席 玉川太福浪曲会

2018年4月28日
「第20回西荻寄席 玉川太福浪曲会」
  @井荻会館





前座さん(お名前失念申し訳ないです。
10代と思われる男子)『粗忽の釘

玉川太福・玉川みね子
『地べたの二人 「おかず交換」』
神田松之丞『鼓ヶ滝』
~仲入り~
玉川太福・玉川みね子
清水次郎長伝 第二話「次郎長出立」』





汗ばむ陽気、晴天。
20回目にして、初めて伺わせて頂いた。
今回は、ゲストがゲストなので、あっという間に
予約満席だったようだ。幸運にも、末席を汚すこ
とが出来た。
勿論、ゲストがこの方でなくても伺っていたのは
確かだ。
(間近に拝聴することができてうれしいに決まって
いるが)




会場の井荻會館は、旧井荻村村長内田秀五郎発案
により、明治末に建築開始、1932(昭和7)年頃に
完成したとのこと。所謂近代建築である。



確かに風情がある会場だが、高座の後ろの床の間
辺りに、縫いぐるみだの千羽鶴だのが、色々雑多
な感
じで置かれているのが気になる。




さて、間近で見る売れっ子二ッ目講談師は。




松之丞さんの生高座(口演)を初めて拝聴したのは、
昨年の6月、その1ヵ月後に初めて太福さんの生高
座(口演)を拝聴したのと同じ、立川シネマシティ寄
席だった。




その頃はもうラジオDJをやっていらしたし、古典大
衆芸能好きの間では、「成金」メンバーということ
も含め、注目されている講談師だった。




私は松之丞さんが極度の猫背姿勢で出て来て、座り
ながら、パン!(張り扇置く)パン!(扇子置く)バッ!
(お辞儀)、という、一連のリズミカルな感じが好き
である。




寄席とラジオDJで鍛えられたであろうマクラは淀み
がなく、客は爆笑に次ぐ爆笑。




『鼓ヶ滝』を教わった神田愛山先生のエピソード。
愛山先生は猫の縫いぐるみに餌まで与えて可愛がっ
ているそうなのだが、私は爆笑しつつ、咄嗟に「え?
談志みたいだ」と思った。




落語好きで立川流を聴く人にとってはお馴染みのこと
だが、談志は縫いぐるみが好きで、ライオンの縫いぐ
るみに「ライ坊」という名前をつけて特に可愛がって
いたのだ。





『鼓ヶ滝』は西行法師が主人公の、滑稽味が強い、寄席
向きの演目である。





私は残念ながら、松之丞さんのネガティヴな部分、怪談
や慶安太平記等の「恐ろしもの」を拝聴したことがない。
『慶安太平記 「鐡誠道人」』などの、人間の実存を脅
かすかのような演目は、垂涎ものである。果たして、こ
れから拝聴出来る機会はあるのだろうか。




思っていたよりも早く「最もチケットが取れない講談師」
になってしまわれたが故に…
ぼやぼやしているうちに、その魅力的な「悪魔」は誕生し、
成長していた。





そしてその対極にあるかのような太福さん。
人情であるとか、明るさ、親しみ、常道、といったものは、
人を安堵させるが、滞留させもする。
「天使」は安心なのだ。





失念していたのだが、西荻窪には骨董屋やアンティー
ショップが点在しており、JR西荻窪駅から井荻會館まで
の道すがら、いちいち引っかかってしまった。
特に旧知のガラス専門の骨董店「駱駝」。この店の近く
に井荻會館があることは、まったく知らなかった。





何とかトンボ玉2個と豆皿(変形型押文小皿)だけで我慢し
たが、久し振りに物欲が沸騰するところだった。