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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

第3回立川シネマシティ寄席(講談)

2017年6月27日
「第3回立川シネマシティ寄席 ことたま」
 @立川シネマ・ワン・Kstudio




一龍斎貞鏡『安兵衛駆けつけ』

神田松之丞『ボロ忠売り出し』





戦国時代の「御伽衆」を起源とし、宝永年間に「講釈」
として成立し、文政年間に話芸として確立したとされる
「講談」。実に初めて生で拝聴した。


近年、落語を筆頭に伝統芸能がブームになっているよう
で、その流れに乗った形で東京郊外でも若手の講談師や
浪曲師の高座に触れることが出来るようになった。


一龍斎貞鏡さんは講談師として由緒正しい血統の正統派。
(祖父七代目一龍斎貞山、父八代目)
美人である。江戸~明治頃、女性講談師は現代のアイド
ル並の存在だったようだ。現在も講談師は女性の方が多
いらしい。


神田松之丞さんは御本人の言葉で言えば「雑草」。
ラジオの語りしか聴いたことがなかったが、落語で「マク
ラ」にあたる部分でも、「ぱん」と釈台を張り扇で叩いて
「合いの手」を入れるのが面白いし、流石というか、「語
り」そのものが面白い。
そして何と言っても鋭い眼光が魅力的で、人気があるのも
頷ける。


御二人とも季節柄怪談をかけようと思ったが、照明の関係
(暗くなり過ぎる、とのこと。何せ会場が映画館だし)で断念
されたようだ。


松之丞さんは是非『乳房榎』あたりを拝聴してみたい、と思
わせられた。


この伝統芸能ブーム、一過性のものではなく、「常態」になっ
てほしいものであるが、それには演者も若い年代が増えなけれ
ばならない。しかしながら、そのことによって中年~老年の客
を排斥する、というのは愚の骨頂であることは言うまでもない。


芸術、芸能、あらゆる表現手段に「差別」なし。