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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

落語の仮面祭りin下北沢演芸祭

2017年2月4日
春風亭昇太プロデュース下北沢演芸祭2017』
        落語の仮面祭りin下北沢演芸祭

       
@下北沢・本多劇場



三遊亭白鳥落語の仮面第1話 三遊亭花誕生』
     『落語の仮面第2話 嵐の初天神
      ~仲入り~
     『落語の仮面第3話 トキ蕎麦危機一髪』

 


油断して5分程度遅刻してしまった。痛恨。
言わずと知れた大河演劇漫画『ガラスの仮面』の落語
ヴァージョン。
作者である美内すずえ先生の公認を得ているとのこと。



なかなか拝聴する機会がなかったが、今回ようやく、
それも第1話~3話までまとめて拝聴できる「祭り」と
あっては、喜び勇んで馳せ参じるより他はない(ちょっ
とだけ遅刻したのは御愛嬌)。



心に残ったフレーズは色々あるが、「印度の茶碗」
「紫の芋のひと」が秀逸でした。後者は先読みが容易
でしたが。
現在第7話まで出来ており、次回の「ヨチヨチSWAN」
(白鳥師が月いちで行なっている独演会)で第8話をかけ
るとのこと。
全部を拝見・拝聴できる機会は極めて少ないと思わざ
るを得ないが、是非すべて実見・実聴したいものである。



鳥師の高座を拝見・拝聴していつも思うことは、
ポストモダン」だよなあ、ということ。しかもそれを
無意識にやっておられる。
「Woman's落語会」なんてフェミニズム色が強い落語
会じゃないですか。それを何故白鳥師が?不思議です。




落語は伝統芸能で、特に古典の場合、男尊女卑は致し方
ない。
『落語の仮面』で三遊亭月影(?でいいのだろうか?)が言
う、「落語は男のものなのよ!」という科白はその通り、
で、女性の落語家が古典を正攻法でやり、真打の落語家
にまでなるのは非常に困難であることが想像される。




だったら女性(女流)として真打の落語家になればよい、
相当の女性向けの新作落語を作ればいいんじゃん、
という、まるで落語「界」の脱構築(déconstruction)
みたいなことを試みている白鳥師。それも、無意識に。




白鳥師の落語にはそういう脱構築的精神が貫かれていて、
ただ奇を衒ったり、小難しくしたり、破綻することがない
上に、滅法面白い。麻薬のような中毒性がある(麻薬は未経
験です、勿論)。
どこまでゆくのか『落語の仮面』。落語における「紅天女
とは?


これから白鳥師を落語界のジャック・デリダと呼ぼうと思う。
(私の頭の中だけですが)




そう言えば談春師の独演会の時に、いつものように配られる
チラシのなかに、東博の展示「特別展 茶の湯」のチラシが
混じっていた理由が分かった。音声ガイドを昇太師が担当さ
れているからだ。
今回の白鳥師の独演会でも混じっていた。



※2020年12月追記

読み返すと大いなる勘違いをしているのが明白だが、
当時の感覚であることに相違ないのでそのままにし
ておこう>笑