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感想ブログ~演芸(落語・浪曲・講談)etc.~

アナロジー落語会

2012年3月26日

 

立川志らく独演会 アナロジー落語編」
@牛込箪笥区民ホール(新宿)


架空対談×アル・パチーノ

落語「時そば

~仲入り~

落語的活弁「SF小町 無声版」




通常の独演会とは一風変わった「アナロジー落語」会。



アナロジー」とは、一見関連性がないと思われること
を類推によって結び付けることで、おもに科学の世界で
使われてきた思考法。


志らくの落語にはもともとアナロジーがある。
一見落語と無関係に思える芸術を探求し、落語と共通す
る法則を見出して、古典落語を新しいエンターテインメ
ント(志らく落語)として再構築している。
志らくが創作してきた「シネマ落語」「演劇らくご」は
まさに、アナロジー落語といえる。」
(パンフレットより)



アル・パチーノとの架空対談。私はさほどアル・パチーノ
は好きではないが、『クルージング』という、ハード・ゲ
イの映画で主演していることを知り、すごく観たいと思った。
はるか昔、テレビ東京で深夜に放映していたような、朧気な
記憶がある。
監督はフレンチ・コネクション』『エクソシストウィ
リアム・フリードキン
駄作だしゲイの話なので、志らく師は幻滅したらしいが…
DVDにもなっていないみたいなので、簡単には観られない
ようだ。



落語は時そば。初めて拝聴。私はすごくうれしかったの
だが、「志らく右翼」の面々には不評だったようだ。
所々談志家元の影が過ったが、もう一つの影が見えた。
弟子のこしらさんだ。
以前ぴあ主催の落語会「柳家と立川2」(喬太郎談笑二人
会)で観たことがあり、「普通に」良かったので「吃驚」した
のだった。
この超ポピュラーな時そば一つをとっても、脈々と
立川流」の血脈が受け継がれているのだな、と一人合点した。
…などとは大いなる勘違いで、要するにぼんやりとした「型」
があり、それをなぞることができる、ということ。



不安だった活弁付き『SF小町』上映。
志らく師匠が監督した映画は駄作だ、と断定されているがゆえに。
師匠の活弁付き、ということと、逆にこういう機会でもないと観
られない、ということで、期待と不安が綯い交ぜになった気持ち
で臨んだ。



上映は40分の短縮版で、活弁は「やっていてバカバカしくなった
から」やめて、解説しながら上映するとのこと。



昇太師がけっこう重要な役で出演。監督失格の監督の恋人で、
AV女優の林由美香が三姉妹の次女役。生前志らく師のファンだっ
たのだそうだ。三女役は志らく師匠の現・おかみさん。長女役の人
がすごい美人。名前不明。昇太師と恋仲になる設定。


解説付きだとけっこう面白い。しかし蛭子能収吉行和子が夫婦役
でツー・ショット、などという場面は、滅多に観られるものではあ
りません。



総じて、想像していたよりもだいぶ愉しめた。
箪笥区」という風情のある名称の意外な由来も知った。